「ダーク・ナイト」編
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---ブルーパロット
「……と、言うわけだから。ジィちゃんは、今回の仕事には手出すなよ!」
寺井に出されたジュースをゴクリと飲み干した後、快斗は寺井に念を押すようにそう告げる。
「承知しました。しかし、尾行されていたのに気付かないとは……面目ないです」
ナイトメアとの一件を説明された寺井は、自分の不甲斐なさにガクリと肩を落とす。
「いや…俺自身、名前ちゃんとの関係を探られてる事に気付かなかったんだ。ジィちゃんは何にも悪くねーよ」
「それで……名前さんの方は、どのような対応を?」
頭をガシガシ掻きながら、自分の行動を後悔するように告げる快斗の姿に、寺井は困ったように眉を寄せる。そして、自分と同じようにナイトメアに目をつけられた名前の事を心配して尋ねる。
「あ゙ーっ!!」
しかし寺井の問いを聞いた途端に、快斗は突然大声をあげて机に突っ伏してしまう。寺井は、そんな快斗の行動に目を丸くした。
card.592
「お……お、押し倒した…と」
(何と……ぼっちゃんから、こんな相談を受ける日が来るとは。それにしても、私にこの話題は荷が重い気が…)
快斗の口から飛び出した話の内容に、寺井は思わず目を瞬かせる。
「ナイトメアの口から名前の名前が出た時ほど、今俺がやっている事を後悔した事はない……」
そんな寺井を尻目に、快斗は頬杖をついて氷の溶け始めたグラスをカラカラと回しながら言葉を続ける。
「……俺は、怪盗キッドをやる事を迷った事はない。だけど、あいつの事を巻き込んだ事は……それだけは、いつも不安だった」
「ぼっちゃん……」
「それでも…あの時、あいつが俺が怪盗でも構わないって言ってくれたから。……俺は、今までその言葉に甘えてただけなんだ」
--お前が危険な目に合うかもしれないって分かってるいても……俺は、お前の事を諦められねェ--
--……忘れたの?私あの時、言ったじゃない?--
--………え?--
--私は、あなたが"怪盗″でも構わないからここに来たのよ?って--
快斗は、名前の言葉を思い出しながら小さくため息をつく。
「その癖に、俺はナイトメアに探られてるのにも気付かずに…あいつを巻き込んで。その事に1人で動揺して…その焦りをあいつにぶつけちまった」
「………。」
寺井は言葉を返す事も出来ずに、黙ったまま快斗を見つめる。
「……それなのにさー、あいつ笑うんだよ」
そんな寺井の視線の先で、快斗は自嘲気味な笑みを浮かべながらポツリと呟く。
「え?」
「……あのウブな名前ちゃんがさ、突然あんな事されて……怖くないわけねーんだ。怖くないわけねーのに、笑って言うんだよ。俺が好きだから、何にも嫌じゃないって」
「!」
「馬鹿だよな……本当に馬鹿だよ。身体震わして、顔強張らせて。それでも笑ってそう言うんだよ」
「………。」
(名前さん……)
「そういう奴なんだよ……名前ちゃんは。俺は、名前に救われてばっかりだ」
それだけ言うと、快斗は大きなため息と共に再び机に突っ伏してしまう。
「………ぼっちゃん」
そんな快斗の姿を見て、迷うように視線をさ迷わせた後に、寺井は小さく息を吐いてから口を開く。
「……それが、名前さんの答えなのではないですか?」
「………え?」
寺井の言葉に、快斗は目を見開いて顔を上げる。
「……あの名前さんなら、仕事帰りのぼっちゃんの行動から"仕事の関係″で何かあったんだと、気付いたんだと思います」
「!」
「それを踏まえての……その言葉なんではないでしょうか」
「…………。」
快斗は、真っ直ぐに寺井を見つめながらギュッと拳を握る。
「その名前さんの覚悟から、ぼっちゃんは逃げてはいけませんよ」
そんな快斗に、今まで真剣な表情だった寺井は、いつもの笑顔を浮かべて優しく告げる。
「……名前ちゃんの覚悟」
快斗は、寺井の言葉に何かを考えるように視線をさ迷わせてポツリと呟く。
--ブー、ブー
そんな時、快斗のポケットの中で携帯が震える。携帯を取り出す快斗にチラリと視線を向けながら、寺井は再び手元の作業を再開させる。
「…青子か」
(何の用だ……?)
そんな中、快斗は首を傾げながら携帯に届いた新着メールを開いた。