「ダーク・ナイト」編
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---ザァァァ!!
「お…お前っ…!!」
未だ雨が降り止まぬ中、キッドはグッと下唇を噛む。
『名字名前。工藤新一、服部平次、白馬探らと同様に高校生探偵と名高い彼女。そんな彼女が、世紀の大怪盗の犯行に入れ知恵している……どうかな?警察やマスコミの喜びそうな情報だろう?』
「もういい、やめろっ!!」
キッドは、ナイトメアが饒舌にそう話すのを大声で遮る。
『フフフ…分かって頂けたかな?私から逃れる事は不可能…君は常に私の監視下にあると。そう、今この時も…』
「!?」
(……ナイトメア!?)
キッドはその言葉にハッと辺りを見渡すと、正面のビルの屋上に黒い衣服に身を包み仮面をつけた男が立っているのが見える。
「………んで、獲物は?」
寺井だけでなく、名前の事まで持ち出されたキッドは、大きく息をつくとジロリとナイトメアを睨みつけながらそう尋ねた。
card.588
(※ちょっと無理矢理…な表現がありますので、ご了承ください)
---ピンポーン
「……快斗かしら?」
(今日はいつもより時間がかかったわね。雨がひどかったから、大変だったのかしら…)
雨音に混ざり、室内にはインターホンの音が響く。名前はチラリと時計を確認した後に、足早に玄関に向かう。
「…快斗?」
玄関を開けると仕事を終えたのであろう快斗が、既に変装を解いているもののびしょ濡れのまま立っている。下を向いて表情の見えない快斗の様子に、名前は心配気に眉を寄せる。
「快斗…何かあったの?そのままだと風邪ひくから……」
---グイッ!!
名前は雨に濡れた快斗を部屋に入れようと声をかけるが、その言葉を遮って快斗はグイッと力任せに名前の手を引いて名前の身体を自分の腕の中に閉じ込める。
「か…快斗……んっ!」
痛いほどに自分を強く抱きしめる快斗のただならぬ雰囲気に、名前は眉を寄せて快斗の顔を覗き込もうとするが、それより早く快斗が乱暴に名前の口を塞ぐ。
「んっ……ちょっ、苦し…」
(快斗がこんな風に無理矢理……一体、何かあったの?)
--バタンッ
名前は突然の出来事に混乱しながらも、何とかしようと快斗の胸を軽く押して抵抗するが、快斗は構わずにグイグイと名前を抱きしめたまま足を進めいき、快斗の後ろで玄関の扉が閉じる。
「…んっ、ちょっと快斗……いい加減に…キャッ!」
---ガタン!
向きや深さを変えて、貪るように続く快斗の口づけが一瞬途切れた隙に、名前は快斗を宥めようと言葉を発するが、その途端に勢いよく廊下に押し倒される。
「………っ!」
名前は、背中に感じた痛みをグッと堪え自分の上に覆いかぶさる快斗を真っ直ぐ見上げる。ポタポタと快斗の髪や身体から流れた雫が名前の顔や首筋に垂れるが、黙り込んでいる快斗の表情は髪に隠れて確認出来ない。
「快…斗……?」
名前は、突然の出来事に不安や恐怖を抱きながらも、何とか冷静さを保ちながら快斗に呼びかける。
「…………。」
「快っ……いやっ」
しかし快斗は黙ったまま名前の首筋に顔を埋めると、右手がグイグイと名前の服の中に侵入してくる。名前は、想定外の行動にパニックになりながらも、快斗を押しのけようと足をバタつかせて身じろぐ。
「………?」
(快斗、震えてる…?)
しかし、ふいに自分に触れる快斗の手が震えている事に気付いた名前は、何かを決意したようにスッと全身の力を抜いて抵抗をやめる。
「………っ、」
すると、快斗は小さく息を飲んだ後にピタリと手を止めてゆっくりと身体を起こす。
「……何で嫌がらねーの?」
「………!」
ようやく快斗の口から放たれた声は、いつもの快斗とは違っていて、か細く僅かに震えている。濡れた前髪の隙間からは、自分を見つめる快斗の不安に満ちた瞳と目が合い、名前は小さく口元に笑みを浮かべる。
「……どうして嫌がるの?私は、快斗の事が好きなのよ?何も嫌じゃないわ」
「!!」
名前の言葉を聞いた快斗は、大きく息をのむと勢いよく立ち上がる。
「悪ぃ……今日は帰る」
---ガタガタ、バタンッ!!
そして短くそう告げると、名前の返事も待たずに勢いよく名前の部屋から飛び出して行く。
「……………。」
名前は、快斗の足音が遠ざかっていくのを床に倒れたまま聞きながら、そっと目を閉じる。静まりかえった室内には雨音だけが響き続ける。名前は未だに鈍く痛み続ける背中の痛みを誤魔化すように、大きく息を吐き出した。