「ダーク・ナイト」編
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---ザァァァ!!
「探せっ!!怪盗キッドは、絶対この近辺に潜んでいる!!今日こそ奴の両手に鋼のブレスレットをぶちかましてやるんだ!!」
「「ハッ!!」」
大粒の雨が降りしきる中、レインコートをに身を包んだ中森が捜査員達に大声で指示を出している。
「………はぁ、」
(マズったな…予報じゃ雨だとは言ってたし、昨日名前ちゃんにも言われてたけど。まさか、ハンググライダーで飛べねーぐらいのどしゃ降りとはね……)
無事に予告した獲物は盗み出したものの、想定外の大雨によって逃走経路を失った怪盗キッド。物影で息を潜めながら警官達の動向を探りつつ、小さくため息をつきながら雨雲に覆われた空を見上げた。
card.587
*ダーク・ナイト編
(まじっく快斗)
「………ふぅ」
(とにかく、愚痴はこの窮地を凌いでから…)
キッドはスッと肩の力を抜くと、今の状況を切り抜けるための策を考えるべく頭をフル回転させる。
『フフフ…お困りのようだね、怪盗キッド君』
「!?」
(ん!?…何だ、これ?)
そんな時ふいに自分に声をかけられて、キッドが周囲を見渡すと、足元に無造作に置かれているトランシーバーが目に入る。
「……あー、どちら様でしょうか?」
キッドは少し迷った後に、とりあえずトランシーバーの向こうにいる相手に言葉を返す。
『私かい?私の名はナイトメア…君の味方だよ』
「?」
(ナイトメアって……確か、世界の怪盗や泥棒と手を組んで獲物の半分の報酬で、盗みの計画を完璧にたてるっていう…あのナイトメアか?)
キッドは、トランシーバーから返って来た言葉に不審気に眉を寄せるが、"ナイトメア″という名称に聞き覚えがあり考えを巡らせる。しかし、トランシーバーから聞こえる声は、そんなキッドに構わずに言葉を続ける。
『……さぁ、私の指示に従うのだ。そうすれば、君は安全な場所まで逃げる事が出来る。まずは、今いる路地を出て左へ……』
「…………。」
『どうした?警察に捕まりたくないのだろう?』
「………ッチ」
しばらく迷っていたキッドだったが、大雨でハンググライダーも使えない今、警官から逃れる手立ても思いつかない。打開策のない状況に小さく舌打ちすると、キッドはトランシーバーの声に従って足を進めた。
「……ハァ、ハァ」
トランシーバーの指示通りに足を進めたキッドは、人気のない雑居ビルの屋上までたどり着いていた。
『そこまで逃げればもう安全圏だよ、怪盗キッド君。……後は雨や風が止むのを待ち、君の自慢の白い翼で飛び立つだけだ。気に入ってくれたかな?私が選択したこの逃走経路…』
「……さすが、"計画師ナイトメア″ってところかな?」
キッドは一息ついて乱れた呼吸を整えると、トランシーバーに向かって言葉を返す。
『おや…私の名をご存知で。ならば話が早い。今度の13日の金曜日に…』
「悪いが…俺は、あんたとは組まねーぜ?」
ナイトメアの言いたい事が分かったキッドは、その言葉を遮るように言葉を返す。
『ほほー、そうきましたか。噂に違わぬ一匹狼ぶりですな。……しかし、実際には仲間が1人…いや2人いるはず』
「!?」
(なっ…何っ!?)
キッドがナイトメアの誘いを断っても尚、余裕に満ちたナイトメアの態度。そしてナイトメアの口から飛び出した思わぬ言葉に、キッドは息を飲んで目を見開く。
『私は、とても奇術が好きでね。……数年前ファンだったある世界的奇術師がこの世を去り、それとほぼ同時に怪盗キッドは姿を消した。私は、その奇術師がキッドだと思ったが…数年たった今復活したところを見ると、疑わしいのはその付き人』
動揺するキッドを尻目に、ナイトメアはどんどん話を進めていく。
『だが、その付き人は歳を食い過ぎて犯行を重ねるのは無理だ……だから私は仮定をたてた。その老人は、新しい主人を見つけ…そいつが再び怪盗キッドとして動きはじめたのではないかとね。案の定、その老人を張っていたら君の犯行時刻になると必ず姿をくらましている』
「!!」
(ジィちゃん……)
寺井の事を完全に調べあげられている状況に、キッドは悔し気に拳を握る。
『そしてもう1人…』
「ーっ!?」
(まさか、まさか……!)
『君は犯行を終えたその足で、ある部屋へと立ち寄る事が多い。その部屋の主は……』
「!!」
(やめろ…!!頼む…あいつだけは…あいつだけは巻き込みたくないんだ……)
『江古田高校2年…名字名前』
「!!」
ナイトメアの口から飛び出した最も大切な人物の名前に、キッドは大きく目を見開いた。