「ダーク・ナイト」編
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---ピッ、
「とりあえず、快斗の方は今回は新一が現場に来れないみたいだし…そんなに心配いらないかしら」
コナンとの電話を終えた名前は、小さな笑みを浮かべて安堵の息をつきながら呟く。
---ピリピリ…
すると、電話を切ったすぐのタイミングで再び着信音が響き、名前は首を傾げながら画面を確認する。
「……国際電話?」
そして画面に表示された見覚えのない番号に眉を寄せながらも、通話ボタンを押した。
card.586
『…ったく、やーっと繋がったぜ。名前ちゃん』
「ごめん、ごめん。ちょうど通話中だったのよ」
(それにしても…今日は帰って来てから電話してばかりだわ)
耳元から聞こえる拗ねたような快斗の声に名前は小さく笑いながら、本日3人目である通話相手の快斗に言葉を返す。
『ふぅん…けど、何回かかけたのにずっと通話中だったぜ?随分長い事、誰と話してたんだ?』
「……え?ああ、新一と話した後に蘭ともちょっとね」
何気なく尋ねられた快斗の問いに、名前は一瞬視線をさ迷わせた後にそう返す。
『ああ、蘭ちゃんか。相変わらず仲良いなー、名前ちゃん達』
「ふふ、そうかしら?」
(やっぱり快斗に嘘つくのって凄い罪悪感。ごめんね…快斗)
名前は快斗に笑って言葉を返しながらも、先程の通話相手との会話を思い返して心の中で謝罪する。
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「国際電話?……もしもし?」
『こんにちは…白馬です』
不審に思いながら電話に出た名前は、電話口から返ってきた思わぬ人物の声に目を丸くする。
「え、白馬君?久しぶりね!探偵甲子園以来かしら?」
『ええ…お久しぶりです。突然電話してしまって申し訳ありません。今、そちらは夜でしょう?』
「ううん。まだそんなに遅い時間じゃないから大丈夫だけど……何かあったの?」
『実は、今週一旦日本に帰国する事になったんです』
「……あ、もしかして探偵甲子園の時に言ってた……」
『いえ、あの時の話とは別で…今回は一時帰国ですよ』
名前は白馬の言葉に1つ心当たりがあったため、その事を口にしてみるが、白馬はそれを遮るようにして否定の言葉を返す。
「あ…そうなんだ」
『ええ。しかし僕の帰国のタイミングで、まさか彼が予告状を出すとは……運命の引き合わせのようなものをを感じますね』
「あら?英国にも怪盗キッドの話題は届くのね」
(またキッドの話か。わざわざ私に電話してくる辺り、何かあるのかしら)
名前は突然の怪盗キッドの話題にドキッとするが、動揺は見せないように言葉を返す。
『ええ…こちらにいても、彼の情報は欠かさずチェックしているので』
「ふふ…それはご熱心ね。でも残念ね、日本で言うと明日の日付で予告状が出てるから…白馬君が帰国してからだと、事件の予告時間には間に合わないんじゃない?」
名前は、チラリと時計を確認しながらそう尋ねる。
『ええ…今回の事件には…ね』
「え?」
『ちょっと面白い情報を耳にしましてね…明日の予告状以外にも、おそらく近いうちに彼はもう1度仕事をする事になる』
「?」
(一体…何の話…?)
名前は、心当たりのない白馬の話に眉を寄せるが、黙ったまま白馬の話に耳を傾ける。
『……そういうわけで、一度帰国する予定なんですが。黒羽君には、この事を秘密にしておいていただけますか?』
「ええ……別に構わないけど、どうしてそこで快斗が出て来るのかしら?」
(そもそも…そんな事言うなら、こんな電話してこないで黙って帰ってくれば良いのに…)
名前は、キッドと快斗の事で白馬に何か悟られるわけにはいかないと、ソファに座り直しながら頭をフル回転させて慎重に言葉を返す。
『ふふ…彼には、僕が日本にいる事は知られない方が都合が良いので。……まぁ、仕事前の情報収集で僕の事まで嗅ぎ付けそうなものですが』
「……今は、キッドの話かしら?」
『……ええ。まぁ黒羽君も、怪盗キッドも、僕にとってはイコールですがね』
「そう……相変わらずだね、白馬君は」
名前は、困ったように笑いながらも言葉を続ける。
「でも…"快斗″に秘密にしておきたいなら、私にわざわざ帰って来る事を言わない方が良かったんじゃない?」
『………あなたの身が心配だったのでね』
「え?」
『最近…尾行されていたり、誰かの視線を感じるような事があるなら、十分にご注意ください』
「!」
名前は、突然の白馬の言葉に目を見開く。
『………まあ、あなたが本当に怪盗キッドとは全く関係ないのなら僕の心配は杞憂に終わる事になるのですが』
「…なら、心配いらないわ。私…あの怪盗さんとは、特に何の関係もないんだもの」
『ふっ…それなら結構です。では、また日本でお会い出来るのを楽しみにしています』
---ピッ、
「…………。」
(今回の事件、何かあるのかしら…?)
名前は、白馬との電話を終えた後に小さくため息をつく。得体の知れない視線の正体が、キッドに関係するかもしれないと知って名前は、眉を寄せて、ふっと天井を見上げた。
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『おーい、名前ちゃん?』
「え…あ、ごめん。ちょっとぼんやりしちゃった」
白馬との会話を思い返していた名前は、ハッと我に返って慌てて快斗に言葉を返す。
『もしかして、名前ちゃんもう眠い?悪ぃな…遅くに電話しちまって』
「ううん。ごめんね……快斗は明日の準備は終わったの?」
『ああ…だいたいな。名前ちゃんなら、もう知ってると思うけど…明日は名探偵も来ないみてーだし。ま、そんなに心配しなくても大丈夫だろ』
「ええ…そうね。でも油断しないでね」
(白馬君の話の詳細も掴めていない今……余計な事は言わない方が良いか。快斗なら…何だかんだ言ってもちゃんと準備してるだろうし…)
名前は、一抹の不安を覚えながらも、白馬の話の詳細も掴めていない為、あえてその事は口を出さないまま言葉を返す。
『……明日、終わったらそのまま名前ちゃん家に行くからさ。部屋で待っててよ!』
「ふふ…分かったわ。明日…予報だと雨みたいだから、気をつけて」
『ああ…俺もさっき予報は見たけど、小雨程度みたいだから大丈夫だろ。……じゃ、また明日な!』
「ええ…おやすみなさい。また明日ね」
---ピッ
「本当に、何にもないと良いんだけど……」
快斗との通話を終えた名前は、チラリと窓の外に視線を向けながらため息混じりに呟いた。