「時計じかけの摩天楼」編
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「とにかく、無事で良かったけど。相変わらず悪運が強いみたいね…あなた達」
「ああ…最後は少しハラハラさせられたけどな。名前、オメー今回の件を反省して、これからは携帯の充電くらいちゃんとしておけよ」
救護用テントを出て、家路につく途中の名前と快斗に会ったコナンと灰原。いつもの口調で軽口を叩きながらも、2人の無事な姿を見て安堵したような表情を見せた。
card.583
「ところで、オメーは何でニヤニヤしてるんだよ?気持ち悪ぃ」
無事救助された2人に声をかけながらも、コナンは何故か名前の隣でニヤニヤと口元を緩ましている快斗に訝し気に尋ねる。
「いやぁ……」
「ああ!良いのよ、快斗の事は気にしないで」
「?」
そんなコナンの問いに何かを答えようとする快斗の横で、慌てたように快斗の言葉を遮る名前の態度にコナンは首を傾げる。しかし、コナンの隣にいる灰原は大して興味もないようで、チラリと快斗を一瞥した後に口を開く。
「そういえば名前……あなた、一番大事なところで工藤君との電話切れちゃったんでしょ?最後のコード…どっちを切るか自分で決めたの?」
「え、ええ…まぁね」
名前は、灰原の問いに戸惑いながらも小さく頷く。
「オメーが、青を選んでくれて良かったよ……青いコードにした理由は何かあったのか?」
「え……」
(またこの話題か…)
「あー、駄目!駄目!その理由は、悪ぃけど誰にも教えてやれねェな」
コナンの問いに困ったように口ごもる名前の横で、快斗が口元に笑みを浮かべたままそう告げる。
「あん…?何で、オメーがそんな事言うんだよ…関係ねェだろうが」
そんな快斗の言葉に、不満気にコナンが眉を寄せる。
「いやぁ、それが大いに関係あるんだよ!!俺は、今回の事件で改めて名前ちゃんの愛を実感したわけ」
「………はぁ?」
「…………。」
饒舌に語る快斗の言葉に、呆れたような反応を見せるコナン。名前は、諦めたように小さくため息をつきながら頭に手をあてる。そんな2人を尻目に快斗は更に言葉を続ける。
「まぁ……そういうわけだから、名前ちゃんが青のコードを選んだ可愛い可愛い理由は、俺以外の奴には聞かせられねェな」
「「……………。」」
ニヤニヤと緩みきった表情でそう告げる快斗の言葉に、コナンと灰原は何かを悟ったようにチラリとお互い顔を見合わせる。
「……………。」
(だから、この話題は嫌だったのに)
名前は気まずさから、そんな二人から視線をそらして大きなため息をつきながら顔を覆った。
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「あの時……最後のコード、赤と青の2つあったの」
時を遡ること数十分前、快斗に問いただされた名前は、戸惑いつつもそう話始める。
「へー…それで、名前ちゃんは青いコードを選んだんだろ?」
名前の言葉に、快斗は先程の目暮や白鳥とのテントでのやり取りを思い返しながら尋ねる。
「うん、そうね。……それで、その理由なんだけど…」
名前は、言いにくそうに視線をさ迷わせる。
「……その理由は?」
そんな名前の顔を覗き込みながら、快斗が不思議そうに尋ねる。
「…き、切りたくなかったから」
「え?」
小声で呟かれた名前の言葉に、快斗がきょとんと首を傾げるが、快斗の視線の先では名前の頬がみるみる赤く染まっていく。
「あの時、私達が会えたのは運命だって、快斗が言ったから。赤い糸は……快斗と繋がっているんでしょ?」
「………へ?」
頬を染めながら、開き直ったように早口でそう言い切る名前。快斗は思わぬ内容に、驚いて目を丸くする。
「名前ちゃん…が、そういう事言うの…珍しい、な」
「わ…分かってるわよ!私のキャラじゃないのは。だけど、あんな緊迫した状況で…快斗にあんな事言ってもらえて嬉しかったんだもん。あー、もうっ!!だから言いたくなかったのに!」
名前は、恥ずかしそうに両手で顔を覆うとガックリと肩を落としながらため息をつく。
「……………。」
そんな名前の様子を見つめながら、快斗は困ったように頬を掻く。
(や…やっべェ。可愛いすぎる…不意打ちすぎる。不意打ち過ぎで、さすがの俺も言葉が出ねー、むしろ今すぐ押し倒したい……)
コードを選んだ理由が、まさかそんな理由だと思っていなかった快斗は、突然の思わぬ展開に名前以上に自分の顔に熱が集まってくるのを感じて、それを誤魔化すように片手で口元を覆う。
「「……………。」」
頬を染めた2人は、しばらくの間気まずい反面どこか甘酸っぱい沈黙に包まれていた。
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「まぁ……名探偵がどうしてもって言うなら、俺と名前ちゃんのラブラブっぷりを特別に教えやっても良いけど?」
「バーロー、そんな事誰も興味ねェよ!!」
ニヤニヤと笑う快斗に、コナンは呆れたように言葉を返す。
「ねぇ……快斗、もうその話は良いから早く帰りましょうよ」
(寺井さんを待たせちゃうのも悪いし)
何か余計な事を口走ってしまいそうな快斗に、名前は眉を寄せながら快斗の服を引っ張って話を遮る。
「あんだよ!名前ちゃん…照れなくたって良いじゃねーか?恋愛事には、めっきり疎い名探偵にはこういう話をして刺激してやるのも必要なんだよ!」
「おい…泥棒野郎、今何て言った?」
「その泥棒野郎に、大事な証拠を探させた奴はどこのどいつだよ!!」
「うるせー!!普段人様に迷惑ばっかりかけてんだ!!たまには人の役に立ちやがれ!」
そんな名前を尻目に、名前の言葉がよほど嬉しかったのか、快斗は事件後でざわめく人々の群れの中、コナンとそんな不毛な会話を繰り返す。名前と灰原は、そんな2人のやりとりに呆れたようにため息をついた。
時計じかけの摩天楼編fin.