「時計じかけの摩天楼」編
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card.580
---ピッ、ピッ、ピッ…
「…………。」
--今日は、名前嬢に話があって来ました…--
--それでも、お前を……お前の事を離したくないって、誰にも渡したくないって思っちまう俺は最低……だな--
---ピッ、ピッ…
--名前ちゃん!一緒に帰ろうぜ!!--
--……俺は怪盗だぜ?欲しい物は必ず手に入れる。そして…一番大切な物は2度と手放さない……どんな手を使っても…な?--
「…………。」
(やっぱり、まだ離れたくないわね)
名前は次々と溢れ出て来る、今までの快斗との思い出を思い返して困ったように眉を寄せる。
--俺が名前ちゃんに会えたの……やっぱり運命だと思うんだよね、俺は--
「…………よし、」
そして名前は、何かを決意したように大きく息を吸うとハサミを残されたコードに伸ばしていく。
-------00:08
---バラバラバラ…
「……………。」
「……………。」
警察や報道関係の多くのヘリが飛び交う中、ビルの外で見守る白鳥達は、もはや言葉を失い呆然とビルを見上げている。
-------00:05
「………ふっ」
そんな中、事件の首謀者である森谷は迫りくる爆発を待ち侘びるかのように口元にニヤリと笑みを浮かべる。
-------00:03
「…………。」
(さようなら……快斗)
名前は、真剣な表情のままハサミの間に1本のコードを通す。
-------00:02
「…愛してるぜ、名前ちゃん」
快斗は、自分と名前を隔てる扉に背を預けて座り込みながら、穏やかな笑みを浮かべて小さく呟く。
---パチン!!
「……………。」
「……………。」
「…なっ……なぜ!?」
シン…と、爆破予定時刻を過ぎても尚、静寂に包まれる状況に森谷は信じられないというように目を見開く。
「や……やったァ!!助かった……助かったぞォ!!」
「ありがとうっ……本当にありがとう!」
その頃、米花シティビル内のシネマロビーでは、名前が爆弾を解体する様子を遠くの物影から見守っていた取り残されていた客達が、助かったという事実に声をあげながら喜び合う。
「…………ふふ」
名前はそんな人々の姿に小さく微笑むと、極度の緊張のせいか全身の力が抜けたようにズルズルと目の前の壁に身体を預ける。
「終わったわよ…快斗」
(そばにいてくれて、ありがとう…)
そして、背中の扉に向かって小さくそう呟きながら、ゆるりと目を閉じた。