「黄昏の館」編
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---バババババ
探偵達が白馬が手配したヘリに乗り込んだ後、ヘリは大きな音をたてて黄昏の館から飛び立っていく。
「結局来なかったのね、怪盗キッド…」
「あら来てほしかったの?」
蘭の呟きに、槍田がニヤリとしながら声をかける。2人の間に挟まれて座るコナンは、どこか残念そうにしている蘭に呆れたような顔をしていた。
card.58
名前は、千間の隣に座りこっそりヘリの中を見回しながら黙り込んでいる。名前の胸はドキドキと高鳴り落ち着かない。
(……このまま無事ヘリで帰れるかしら)
名前は気付かれないように、ある2人の方を盗み見る。
(あの2人も気付いてるだろうし…多分無理よね、どうする気なのかな)
しかしその高鳴りは、決して嬉しい高鳴りではない。名前は小さく息をついた。
「……お嬢ちゃん、」
そんな時、ふいに小声で千間から声をかけられる。その小さな声と千間の雰囲気に名前は、周りに聞かれない方がいいのかと、千間に身体を寄せて耳を寄せる。
「…何ですか?」
「お嬢ちゃんが今日来たのは、彼のためだろう?」
「……え?」
「私の身勝手な犯行に、彼を巻き込んでしまった責任はしっかり取るから。安心してちょうだい」
「…な…にを?」
しかし千間は、自分の伝えたい事だけを伝えると、そのまま窓の外に目を向けてしまった。名前が眉を潜めて千間の横顔を見つめていると、後ろにいた茂木が千間に声をかけてくる。
「でもバアさんよ、俺達を心理的に追い詰めるのは大上の旦那の計画だったんだろ?何で奴を殺した後に、自分まで死んだフリなんかしたんだよ?」
その言葉に、千間は窓の外に視線を向けたまま答える。
「どーしても解いて欲しかったんだよ。父が私に遺したあの暗号を……私が生きている内にね。あなた達のような名探偵が集まる機会なんてもう2度とないと思ったから……」
(千間さん…?)
名前は千間の雰囲気に嫌な予感を感じるが、千間はまだ言葉を続ける。
「……どうやら烏丸蓮耶に取り付かれていたのは………私の方だったのかもしれないねぇ」
---ガラッ!
そこまで言い終えると、ふいに千間が立ち上がってヘリの扉を開くと、そのまま宙に飛び出そうとする。
「ーっ!千間さんっ!!」
名前は咄嗟に手を伸ばし、千間をヘリの中へ引き寄せるが、バランスを崩してしまい、今度は名前の身体がヘリの外へ飛び出してしまう。
名前はふわりとヘリの外へ飛び出た空中で、ヘリの方に視線を向ける。
「お、お嬢ちゃん!」
茂木やまわりの探偵が慌てたような表情を浮かべる中、名前が必死にヘリの中へ引き寄せて、無事にヘリの中へ留まった千間は、ニヤリと場違いか笑みを浮かべて自分を見ているのが見える。
(まっ…まさか、)
千間の顔を見て名前はある考えが浮かぶが、時すで遅し…。名前の身体は重力に従いぐんぐんと落下していく。
(あー…前にも。つい最近こんな事あったわね)
名前はつい先日味わった浮遊感を思い出しながら、諦めたように再び重力に身体を委ねた。