「時計じかけの摩天楼」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「好きな方を切れよ……お前が、好きな方を」
快斗の言葉に、名前は目を見開いた後に困ったように天井を仰ぎ見る。
「…………。」
しかし爆弾を目の前にしながらも、1度笑った事が影響しているのか、先ほどまでの焦りや緊張が自然と収まっているのを自分でも感じていた。
card.579
「快斗は……」
「ん?」
「快斗は…本当にそれで良いの?」
名前は、穏やかな口調で確認するように尋ねる。
「……当たり前だろ!今更そんな事聞くんじゃねェよ」
すると、扉の向こうからは半ば呆れたような優しい快斗の言葉が返ってくる。
「どうせ…時間が来たらゲームオーバーなんだ。だったら……名前が好きな方に賭けてみようぜ」
「……………。」
「安心しろよ……俺は、とっくの昔からこの先ずっとオメーと一緒にいるつもりでいるんだ。オメーが選んだ道が例えどっちの道でも……俺は名前と一緒にいられるなら、喜んで着いて行くからよ」
(本当は、名前がこんなに辛い思いしてるのに…こんな扉越しでしか側にいられないっていうのが不甲斐ないけどな…)
快斗は、コン…と扉に軽く触れながら黙りこむ名前に言葉を返す。
「………快斗」
そんな快斗の言葉に小さく微笑むと、名前はグッとハサミを持つ手に力を込めた。
-
--
----
------
---ガシャーンッ!!
「くそッ!!もう時間がない……閉じ込められた人々を…名前君達を助ける手は何かないのかっ!!」
「名前っ!!」
爆発の余波であちこちから炎や煙が上がる米花シティビルを目前に、小五郎や目暮達が悔し気に立ち尽くす。
「ふっ……哀れな人間同士の馴れ合い…愛か」
そんな小五郎達の姿に、森谷はニヤニヤと笑いながら言葉を続ける。
「建築に愛は必要ない。……人生にもな」
「………黒羽君、いないわね」
森谷の足元でジロリと森谷を睨みつけた後に、燃え盛るビルに視線を移しながら灰原が呟く。
「ああ……電話も繋がらねぇ。あいつは、きっと名前の傍にいるんだろうぜ」
電話が切れた後、ようやく米花シティビルに辿り着いたものの、残された僅かな時間では名前を助ける術をもたないコナンは悔し気に眉を寄せながら、独り言のようにそう言葉を返す。
「大丈夫かしら……」
「あいつなら…あいつらなら大丈夫だ」
灰原もコナンも何も出来ない状況にもどかしさを感じながらも、決して目を逸らさずに崩れ行く米花シティビルを見つめていた。