「時計じかけの摩天楼」編
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「……黄色と白の後に…黒、その後に一番下の緑とピンク……最後に一番奥の黒ね」
結局、携帯の充電が切れるまでに確実に爆弾を解体する方法として、解体順序を暗記するという方法選んだ名前。コナンの言葉を復唱しながら、爆弾のコードを1つ1つ確認していた。
card.572
『おい…大丈夫か?』
(……さすがというか、今のところ問題なく暗記してはいるが)
コナンは、そんな名前が心配でたまらずに何度も聞き返す。
「平気よ…だいたい覚えた。後は新一と電話が繋がってる間に、少しでも解体を進めて……」
(あれ……これって?)
名前は何とか解体出来そうな状況に小さく息をつきかけるが、ふと爆弾の奥の2種類のコードが目に止まって言葉を切る。
『何だ、どうした!?』
会話の途中で名前の言葉が突然途切れた事に、コナンは慌てた様子で声をかける。
「ねぇ…新一。一番奥に赤と青のコードがあるけど……このコードは関係ないの?」
(周りのコードの位置と密接してるし、関係なさそうには見えないけど……)
名前は、明らかに爆弾の中心部にあるコードにコナンが触れない事に首を傾げながら尋ねる。
『何?赤と青のコード…ちょっと待てよ』
---バサバサ
名前は、耳元で恐らくコナンが爆弾の設計図をめくっているのであろう音を聞きながら、黙ってコナンの答えを待つ。
『いや……設計図には、そんな2本のコードは存在しねぇ。どういう事だ?』
「………え?」
しかし、しばらくするとコナンの戸惑ったような声が聞こえてきて、名前は思わず目を丸くする。
『くそッ……まさか教授、俺を嵌めるためにわざと設計図に2本のコードを書かなかったんじゃ…』
「……わーお、そうすると片方は完全にトラップね」
コナンの独り言とも思える呟きを聞いて、名前は小さくため息をつきながら告げる。
『ああ……恐らく』
「両方切るわけにもいかないし……困ったわね」
(その犯人の教授と、新一の会話の中に何かヒントがあれば良いんだけど……時間的にゆっくり考えてる暇はなさそうね)
名前は、チラリと携帯の画面を確認しながら、壁に寄り掛かって電話越しにコナンの言葉を待つ。
『くそッ!!赤か青か!?一体どっちを切れば……』
「…………。」
(新一……。)
しかし電話からは珍しく慌てたようなコナンの言葉が聞こえてきて、名前は眉を寄せる。そして、小さく息をつくと口元に穏やかな笑みを浮かべて口を開く。
「ねぇ……新一」
『……何だよ?』
「爆発まで残り6分21秒……爆発予定時刻は、0時3分。」
『名前…?』
突然の名前の言葉に、コナンは不思議そうに反応する。
「残念ながら…携帯の電池、日付が変わるまでは充電がもちそうにないから…先に言わせてもらうわ」
『…え?』
「ハッピーバースデー…新一」
『なっ……!?』
(まさか……教授のあの言葉の意味は……)
--お前のために3分間作ってやった!!じっくり味わえ!!--
コナンは、思いがけない名前の言葉に目を丸くしながらも教授の言葉の意味を思い出す。
『…………。』
(そうか、あれは俺の誕生日を3分間味わえって事だったのか……そういえば、そういえば…あの時…)
「ねェ……新一」
名前の言葉をきっかけに、何かを思い出そうとしているコナンだったが、名前はその事に気付かずに更に言葉を続けようと小さく息をついて、穏やかな声で新一の名前を呼んだ。