「時計じかけの摩天楼」編
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「くそッ!!すげー瓦礫の量だな」
快斗は薄暗く爆発の影響で瓦礫に埋もれたビルの中を、5階のシネマロビーに向かって進んでいく。
---タタタ…
「!!」
すると、正面から懐中電灯の光と共に数人の足音が聞こえてきて、快斗は咄嗟に身を潜める。
「…………救助隊か」
(こんな場所で鉢合わせたら、一般人の俺なんて連れ戻されちまうよな…)
快斗は乱れた息を整えながら、物陰で救助隊の数人が立ち去るのを待つ。
「くそッ…やはり、シネマロビーがある5階の扉は全て爆発の影響で開きそうにないな」
「ああ…とにかく重機を持って来るしかない!急ごう!!」
「………名前」
去り際に聞こえた救助隊員の会話に、快斗は顔を歪めながら拳に力を込めた。
card.571
----パチンッ
「黒……切ったわよ」
『……よし、良いペースだ。これなら、何とか間に合いそうだな』
「ええ」
名前は電話越しに新一に言葉を返しながら、スッと額の汗を拭う。
---ピッ、ピッ
「…………。」
(この状況…さすがに緊張するというか、精神的に疲れるわね)
設計図のもと解体しているとは言え、爆発と隣り合わせの作業と刻々と時を刻むタイマーの音は、少しずつ名前を追い詰めていく。
『名前、大丈夫か?』
(さすがに、この状況は名前でも辛いか…)
最初に比べて口数が少なくなってきた名前に、コナンが不安気に声をかける。
「……平気よ。ちょっと集中しすぎただけ。どこに行っても事件ばっかり起こる、疫病神新一の幼なじみだもの……こういう非現実的な状況なんて慣れてるわ」
『オメーなぁ……』
名前はそんなコナンの心情を察して、小さく笑いながら明るく言葉を続ける。
「ちょっと待ってね。手に汗かいちゃって今携帯持ちかえ……!」
そして軽く身体の力を抜く意味も兼ねて、そう言いながら携帯を持ち変えようとしたところで、ふいに言葉を切る。
『…何だ、どうした!?』
「……あー。新一怒らないでね?携帯の電池が切れそう」
携帯を持ち替えようとした時に、ふいに見えた携帯の画面。そこに表示された電池の残量表示を見て、名前は困ったように髪を掻き上げながらポツリと告げる。
『……はぁ!?オメー、いつ何があるのか分からねーんだから、"携帯の充電くらいちゃんとしとけ"って、いつも言ってるだろーがっ!!』
「…………。」
(怒らないでって言ったのに…)
名前は電話越しに響くコナンの大声に眉を寄せながらも、反論も出来ずに無言を貫く。
『……にしても、どうするか。今ようやく2/3終わったくらいだから…まだ10分くらいかかるぞ。俺が、米花シティビルに着くまでまだ7~8分かかるし………博士、もっと急いでくれっ!!』
最初は怒っていたコナンだったが、状況が状況故にすぐに冷静になって今の時点での、爆弾の解体状況を整理し始める。
「…………。」
(……爆発までは、残り14分35秒。時間は大丈夫そうだけど)
電話越しに聞こえるコナンや阿笠達の声を耳元で聞きながら、名前は爆弾のタイマーを確認しつつ考えを巡らせる。
「新一……」
『…何だ?』
「携帯の電池、多分それまでもたないから……解体の手順を全部読み上げて」
『はあ?』
「電池が切れる前に全部覚えるから。……もう、それしかないでしょ?」
名前は、グッと拳に力を込めながら冷静にそう告げた。