「時計じかけの摩天楼」編
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「……まいったな」
名前は薄暗い館内で、刻々とデジタル時計のタイマーが時を刻むのを見ながら小さくため息をつく。
「あと34分……」
(……とりあえず、カバーを外してはみたものの…この爆弾、完全に犯人のオリジナル設計じゃない。解体するには、設計図か何かがないと厳しい…か)
---ピリピリ、ピリピリ…
「……しん…いち?」
追い詰められた状況の中、ふいに名前のポケットから携帯の着信音が響く。名前は、画面に表示されたよく知ったその名を見て小さく安堵の息をつきながら通話ボタンを押した。
card.570
「新一…?」
『名前っ!?大丈夫か?』
名前は、耳元に響くコナンの大声を聞いて苦笑しながら口を開く。
「そんなに焦らなくても大丈夫よ。その様子だと、私の状況はだいたい分かってるんでしょ?今シネマロビーにいるわ。ちなみに、爆弾も見つけた……かなり大きなサイズのね」
『そうか……くそっ!教授めっ!!やっぱりシネマロビーに一番でかいヤツを残してあったか』
「……………。」
(今は詳しく聞ける雰囲気じゃないけど、結局森谷教授が犯人だったのね)
名前は電話越しに聞こえるコナンの悔し気な言葉から、今回の一連の事件の犯人を知って小さくため息をつく。
『それで…時間は、あとどれくらい残ってる!?』
「ああ……あと、28分54秒ね。爆発するのは、0時少し過ぎ……だいたい0時3分くらいかしら?」
名前は、爆弾のタイマーと腕時計を見比べながら言葉を返す。
『0時3分?そうか、3分か…。』
「ええ。やけに中途半端な時間だけど…何か意味があるの?」
(新一の話し方、何か引っ掛かってる事があるみたいね…)
爆破予想時刻をポツリと復唱するコナンに、名前は不思議そうに尋ねる。
『ああ……教授が俺のために3分残したって言ってたんだ。だから、その中途半端な時間には何か意味があるはずなんだが……』
「?」
『いや、それよりも……とにかく今は、爆弾を何とかしねーと!』
一瞬、教授の言葉の意味を考え始めたコナンであったが、今の状況を思い出して我に返ったように言葉を続ける。
『とにかく…今は爆弾の解体が先だっ!!状況的には、オメーが解体するしかねェ!!まずは……』
「……もうやってるわ」
『は?』
コナンの言葉を遮って告げられた名前の言葉に、コナンは拍子抜けしたような声を出す。
「……とりあえず、爆弾の外側のカバーを外してみたんだけど。この爆弾、犯人のオリジナルでしょ?通常の爆弾よりも、回線がややこしくて困ってたとこなの。ちょうど新一から連絡があって助かったわ」
名前は、自分の目の前に置かれた爆弾に視線を向けながら現在の状況を伝える。
『…………。』
「何?どうかした?」
『オメー…何て言うか、相変わらず頼もしいな』
「………何よ、新一だってちょっと前に東都タワーに仕掛けられた爆弾…自分で解体したんでしょ?」
名前は、コナンの突然の言葉に半ば呆れたように言葉を返す。
『いや…まぁ、そうだけどさ』
(こいつ…今更だけど、相変わらず女のくせに怖がったりとか焦ったりとかほとんどしねェな)
「ねぇ、新一。そんな事より…早いとこ解体しちゃいましょうよ。解体しろって言うからには、設計図か何かがあるんでしょ?」
コナンにそんな風に思われている事も知らずに、名前は改めて爆弾に視線を向ける。そして、グッと携帯を持つ手に力を込めながら、電話越しにコナンを急かしたのだった。