「時計じかけの摩天楼」編
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----ブロロロロ…
「博士…こっちだ!!」
森谷邸から飛び出したコナンは、猛スピードで近付いてくる博士のビートルに向かって手をあげて呼び止めると、急いで後部座席に乗り込む。
「それで、状況は?」
---ガサガサ…
「爆弾処理班を待っている余裕があるとは思えない……一応、爆弾の設計図はあるからな。今名前がシネマロビーにいるらしいから……連絡がつけば、あいつに解体させるしかねーだろ」
コナンがビートルに乗り込むや否や、助手席に座り眉を寄せている灰原がコナンに問い掛ける。コナンは、爆弾の設計図を確認しながら真剣な口調で答える。
「そうか…名前君に」
ハンドルを握る阿笠は、心配そうにポツリと呟く。
「とにかく…今、名前に連絡してみっから!博士はこのまま米花シティビルに向かってくれ!」
「ああ、分かった…!」
---ブロロロロ!
コナンの言葉に、阿笠は更にアクセルを踏み込んだ。
card.568
「いたた……」
電気も消え、瓦礫に埋もれたシネマロビー。名前は、爆発に巻き込まれた衝撃で、身体のあちこちが痛むのを感じながら立ち上がる。
「うう…これからどうなるの?」
「怖いよー、ママァ…」
辺りを見渡して見ると、先ほどまで一緒にシネマロビーにいた人々が突然の出来事に呆然と座り込んで涙を流したり、不安気に言葉を交わしている。
「…………。」
名前は、そんな姿を見て眉を寄せながらも、ぐるりと周りの状況を確認しつつ考えを巡らせる。
(とりあえず、今の被害はここの出入り口だけみたいだけど。これじゃ、出られそうにないわね。シネマロビーが狙いなのかしら。それとも米花シティビルそのもの…?)
名前は、爆発によって瓦礫で塞がっていたり捩曲って変形している扉が開かない事を、1つ1つ確認しながら歩いてまわっていく。
「………ん?」
そんな中、ふと受付の傍の椅子の後ろに隠すように置かれている紙袋が目に入る。名前は、胸騒ぎを感じながら紙袋を持ち上げると中を覗き込む。
---ピッ、ピッ
「!!」
紙袋からは無機質なタイマーの音が響いている。そんな紙袋の中身を見た名前は、大きなため息と共に肩を落として天井を見上げる。
「このサイズがここに。……やっぱり、狙いはシネマロビーなのかしら」
名前の手の中の紙袋には、大きなデジタル時計が設置された爆弾が入っていて、それを見た名前は状況を何となく察してしまう。
「…………はぁ」
名前はもう1度大きくため息をつくと、何かを決意したようにギュッと紙袋を握る手に力を込めると辺りを見渡す。
----ガサガサ
そして、紙袋を持ちながら他の客から少しでも離れようと、壊れた扉の前まで移動して扉の前にソッと紙袋を置く。
「…………さて」
そして何かを探すようにぐるりと辺りを見渡すと、ふと視界に入った1人の若い女性客のそばに近付いていく。
「…すみません」
「は…はい?」
突然話し掛けられた女性は、不安気な表情で首を傾げる。
「ソーイングセットって持ってますか?」
そんな女性を安心させるように、ニッコリと微笑みながら名前はそう尋ねた。