「時計じかけの摩天楼」編
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---ドクン、ドクン…
「環状線……爆破?」
(これってもしかして…)
--とにかく、オメーはそこ動くんじゃねーぞ!!帰るにしても電車は使うな!!駅にも近付くなよ!!分かったな!!--
名前は、繰り返されるニュースの映像を見ながら眉を寄せる。
(さっきの電話って、まさかこれの事?やっぱり…快斗、何かの事件に巻き込まれてるんじゃ…)
名前は胸が慌ただしくドクドクと高鳴るを感じながらも、慌てて携帯を取り出した。
card.562
---プルルル、プルルル
「……ん?」
森谷邸で金庫の鍵穴を覗き込んでいた快斗は、ポケットで携帯が震えるのを感じて一旦手を止めると、携帯を取り出す。
「……名前ちゃんじゃねーか」
そして画面に表示された人物の名前に目を見開くが、困ったように視線をさ迷わせる。
(……今は名探偵に頼まれたもんを持って行かなきゃならねーし、名探偵も犯人が分かってるみたいだから……もう事件の解決も時間の問題だよな)
快斗はそう考えて小さく頷くと、震える携帯をそのままポケットにしまう。
「名前ちゃんは、蘭ちゃんと一緒にいるから…事件に巻き込まれる事はないだろうし。解決した後でかけなおすか」
快斗は、名前に対して申し訳ない思いを感じながらも、目の前にある金庫の鍵を開ける事に再び集中した。
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「犯人は…森谷教授、あなたです!!」
「馬鹿野郎ーっ!!どこに自分の作品を破壊する建築家がいるっ!?」
その頃、森谷邸のギャラリーでは電話から聞こえた新一の思わぬ言葉に、小五郎は納得がいかないように電話に向かって怒鳴りつけていた。
『……幼い頃から建築家として、父の才能を受け継いだ森谷教授は、30代初めという若さで建築家デビューしました』
(ったく…相変わらずだな、おっちゃんは)
コナンは、そんな小五郎を物陰からチラリと一瞥すると、構わずにどんどん推理を続ける。
『そして環状線の橋の設計で、日本建築協会の新人賞を取った』
「……………。」
森谷は電話口から響く新一の推理を、眉を寄せながら玉って聞いている。
『その後も数々の新しい建築を生み出し続けた森谷教授は、ある時不意に……いや、前からそう思っていたのか…若い頃の作品の一部を抹殺したくなった』
「「「…………。」」」
先程まで新一に食ってかかっていた小五郎も、目暮と白鳥と並んで黙ったまま電話口から響く新一の言葉に耳を傾けている。
『それは、ティーパーティーの時の教授の言葉からも伺い知る事が出来ます……』
--今の若い建築家の多くは美意識が欠けています!!もっと自分の作品に責任を持たなければいけないのです!!--
『……つまり、教授はあの時の言葉を実行したのです』
「あー、そういやそんな事を言ってたな…」
小五郎は新一の言葉を聞いて、ティーパーティーの時の教授の台詞を思い出してポツリと呟く。
『さて、皆さん。パネル写真を見てください……まず黒川邸、水島邸、安田邸……そして橋をよく見てください。いずれも英国古典様式風の建築ですが、何か気付かれた事はありませんか?』
「んー?」
「どれも、見事な建築だとワシは思うんだが?」
新一の言葉通りに壁のパネル写真を覗き込む小五郎と目暮は、特に思い当たる事がないようで、渋い顔を見せる。しかし、その2人の後ろで白鳥が突然声をあげる。
「あーっ!?完全なシンメトリーになっていない!?」
『その通りです!!微妙に左右対称とはなっていません…おそらく建主の注文か、建築基準法等の関係で妥協せざるを得なかったんでしょう。それは完全主義者の森谷教授にとって、我慢ならない事でした。……時を同じくして、それまで順風満帆だった建築家としての人生に初めて影がさしました』
「………影?」
『ええ……長い時間をかけて完成した、西多摩市の新しい街作り計画が市長の逮捕によって、突然中止になってしまったのです』
「そ…そうか!!これも森谷教授の設計だったんですね!?」
白鳥は、ショーケースの中の街の模型を覗き込む。
『……教授は俺に挑戦し、高校生探偵の名を汚す事で目的の1つである復讐を果たし、同時にもう1つの目的である黒川邸を含む4軒の家の放火と、環状線の橋の爆破をカムフラージュしようとしたんです』
「!?」
目暮や小五郎は、表情を崩さずに佇んでいる森谷をジッと見つめる。
『そして……あの時、キャリーケースの爆弾のタイマーを止めたのは…児童公園にあったガス灯のためです。あれは、ニュータウン西多摩市のシンボルになるはずだったもの!!』
「!!」
新一の言葉に、森谷はピクリと眉を寄せる。
『教授は壊したくなかったんですよ…こよなく愛する、ロンドンのそれに似せてデザインしたあのガス灯を……違いますか?』
「…………ふっ」
低い声で尋ねられた新一の問いに、森谷は動揺する事もなく口元に僅かに笑みを浮かべた。わ