「時計じかけの摩天楼」編
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--バタン、ガサガサ…
コナンが"新一″として、目暮達に推理を披露し始めていた頃、快斗は森谷教授の書斎を訪れて戸棚を物色していた。
「お、あった!……んー?やっぱり鍵はかかってるみてーだな」
(ま、素人が隠しただけあってすぐ見つかって面白味も何にもねーけど。今回は事件の捜査だし仕方ねェな。とりあえず、鍵を開けてみっか)
いとも簡単に見つかった小さな金庫の前にしゃがみ込むと、鍵穴の形を把握するべくじっくりと覗き込む。普段、天下の怪盗キッドとして相手にしている獲物に比べたら、随分手応えのない獲物ではあるが、快斗は真剣な表情で金庫に手を伸ばした。
card.561
「……へぇ、来月から公開の映画もいろいろ面白そうね」
蘭に付き合ってシネマロビーに来ている名前は、公開予告が映し出されているロビーのモニターを見つめながら呟く。
「……ねぇ、名前」
そんな名前の横で、先程購入したばかりの映画のチケットをヒラヒラと手で弄びながら、蘭が口を開く。
「どうしたの、蘭?」
「新一の奴……今日ちゃんと来るかなぁ?」
蘭はぼんやりと前を見つめたまま、不安そうにポツリと呟く。
「…………。」
「無理矢理、今日の約束取り付けた上に…それ以来新一から連絡もないし」
「……蘭」
名前は蘭の横顔をしばらく見つめたあと、小さく息をついて口を開く。
「…連絡、来ないって嫌だよね」
「え?」
「私もね、快斗と映画見る約束だったのよ。この連休中に」
「え、そうなの?」
蘭は苦笑しながらそう話す名前を見て、不思議そうに首を傾げる。
「………でも、連休前に喧嘩しちゃって。それ以降、サッパリ連絡もないし。さっき、ようやく向こうから連絡来たと思って出てみたら…一方的に切られちゃうし」
(……何か思い出したら、苛々してきた)
名前は冗談めかして蘭に話ながらも、先程の電話のやり取りを思い出して小さくため息をつく。
「新一も快斗も、連絡もまともに出来ないんだもん。待ってる方の気にもなってほしいわよね」
「……うん。本当に!!いつも仲良い黒羽君と名前にも、そういう事があるんだね。新一なんて今回だけじゃなくて、いっつもろくに連絡してこないんだもん!!本当に嫌になっちゃうよ!」
珍しく快斗の愚痴をこぼす名前に、蘭は僅かに驚きながらも、名前が今の自分と似た境遇だった事に安堵したのか、大きく頷きながらペラペラと不満を漏らす。
「…………。」
(……少し元気になったかしら)
名前は、いつもの調子で新一の愚痴をこぼし始めた蘭の姿に内心安堵の息をつく。
「あー、なんか愚痴ったら少しスッキリした!ありがとう、名前。何だか気を使わせてごめんね?」
そんな名前の横で、蘭は新一に対する日頃の不満を一通り言い切ると、いつもの笑顔で笑う。
「ふふ……気なんか使ってないわよ。快斗に不満があるのは、本当だもの」
「えー?そんな事言っても、名前は優しいからそこまで怒ってないんでしょ。黒羽君も、早くちゃんと連絡してくれたら良いのにね!………あ、私ちょっとお手洗い行っても良い?」
「ええ…行ってらっしゃい」
名前は、小走りでシネマロビーの外にあるトイレへと向かう蘭を見送ると、ロビーの椅子に腰を下ろす。
『……次のニュースです』
名前が座ったすぐ側のモニター画面がニュースに切り替わり、名前は何気なくモニターに視線を向ける。
『……本日、正午過ぎに起きた環状線の謎の暴走の一件は、東都線に何者かからの爆破予告があったからではないか……との情報が入って来ました』
「………え?」
アナウンサーが告げた思わぬ言葉に、名前は大きく目を見開いてモニターを見つめた。