「時計じかけの摩天楼」編
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---ガチャ
リビングを抜け出したコナンは、以前ティーパーティーに参加した際に蘭と共に森谷に案内されたギャラリーの扉を開けて部屋の電気をつける。
「えーと。ああ、この辺りからだな。安田邸に……黒川邸、水島邸」
そして、コナンは壁に飾られた写真の中で連続放火事件の被害にあった邸宅を確認していった。
card.559
「阿久津邸………そして今日の橋か」
----ガチャ
「!?」
連続放火事件の被害に合った順に1つ1つ邸宅を確認しいき、今日の環状線の爆弾事件の標的と思われる橋までの写真を確認し終えたタイミングで、突然部屋の扉が開く。写真を見ていたコナンは、ビクリと入口に目を向ける。
「おー、こんな所にいたのか」
「………何だ、オメーか。驚かせるんじゃねーよ」
しかし涼しい顔をしながら部屋に入って来た快斗の姿を見て、コナンは小さくため息をつく。
「何だよ。オメーこそ突然出て行きやがって。探したんだぜ?………ふーん?それにしても、本当に被害にあった建物ばっかりじゃねーか」
快斗は、コナンにジト目を向けてそう告げながら、壁に飾られた写真を見て半ば呆れたように呟く。
「ああ…この辺りから、全部が放火事件の被害にあってるな」
コナンは、快斗の隣に立ち最初に被害にあった安田邸を指差しながら頷く。
「……へぇ。あんまりニュース見ねーから知らねーけど。ここからこっちの建物ばっかり狙われてんだな。お前、確か犯人に心当たりあるんだろ?狙われてる建物には何か理由があんのか?」
快斗は、"安田邸″から先の写真に映った建築物が全て被害にあっている事に不思議そうに呟く。
「……え?ああ……そうだな。心当たりとは言っても、俺もまだハッキリと確証があるわけじゃねーんだが……」
(そういえば……狙われてる建物は、森谷教授の若い時の作品ばかりだな)
快斗の言葉に、コナンはブツブツと呟きながら、壁に飾られた被害にあった建物と被害にあっていない建物の写真を見比べながら考えを巡らせる。
「ん?待てよ!この橋…」
そして橋の写真を見て何かを思いついたように小さく息を飲むと、もう1度被害にあった全ての建築物の写真を確認していく。
「……おい、何か分かったのか?」
「…………。」
(ま…間違いない!)
--若い頃は、まだまだ未熟でね……あまり見ないでくれたまえ--
(まさか……それが犯行の動機なのか!?)
「おーい、名探偵?」
快斗の声も耳に届かず、コナンは自分の考えが導きだした1つの答えに眉を寄せて考え込む。
「ったく………完全に自分の世界じゃねーか、こいつ」
(………ん、何だあれ?)
快斗は、そんなコナンに呆れたようにため息をつくと、ふと部屋の真ん中に置かれている黒い布で覆われたショーケースが目に入る。そして、暇つぶしをかねてふらりと近付いて黒い布に手を伸ばす。
---バサ…
「何だ?これ……街の模型か?"我が幻のニュータウン西多摩市″?」
--当然その事件によって岡本市長は失脚……市長が進めていた西多摩市の新しい街作り計画も一からの見直しになったの。ま、その影響で余計に世間から注目を浴びたみたいだけどね--
(これって病院で哀ちゃんが言ってた、西多摩市の市長が進めていた新しい街作りってやつか…?)
ショーケースの中に並ぶ街並みの模型と、その脇に設置されたプレートに彫られている文字を読み上げながら、快斗は聞き覚えのあるその言葉に目を見開く。
「おい、名探偵!」
そして、くるりと振り返ると先程よりも大きな声で、未だに考え込んでいるコナンに声をかける。
「……あんだよ?」
「ちょっと、これ見てみろよ……ほらっ!!」
「おいっ!?コラッ!急に何だよ………え?」
快斗は、背の小さなコナンの身体をヒョイッとショーケースの中が見える位置に持ち上げる。コナンは、突然の快斗の行動に慌てたように声を荒げて手足をバタつかせるが、ショーケースの中が目に入ると、ピタリと動きを止めてショーケースの中を見つめる。
「完全なシンメトリーのニュータウンじゃねェか…そうか、西多摩市の街作りの計画を立てていたのが森谷教授だったのか」
コナンは、快斗に抱き上げられている事も忘れて、ショーケースの中の街並みをジッと見つめる。
「なぁ…名探偵。あそこにある街灯の模型…ここに来る途中で見たのと同じじゃねーか?」
そんなコナンの後ろから、快斗がショーケースの奥を指差して告げる。そこには、森谷邸に来る途中に車内で話題に上がったガス灯にそっくりな模型がある。
「!!」
(あの時…キャリーケースの爆弾が止まった児童公園の街灯と同じ!!)
コナンは、快斗が見つけたガス灯の模型を見つめて眉を寄せる。
「そうか……だから、あの時……やっぱり犯人はあの人か!」
そして自分の推理が導き出した答えを確信して、ポツリと呟いた後に、ふと思い出したようにくるりと快斗に向かって振り返る。
「そういや、さっきここに来た時…オメー俺を探したって言ってたけど……何か用だったのか?」
「ん?…ああ」
快斗は、コナンの身体を下ろしながら思い出したように小さく頷く。
「いや……まぁオメー、犯人が分かったみてェだから今更な気もするけど……」
そして、ため息混じりにそう前置きすると、快斗はコナンに向かって自分が気付いた事を伝え始めた。