「時計じかけの摩天楼」編
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「すべて工藤君の推理通りだったよ」
仕掛けられた爆弾を全て発見・処理して病室に戻ってきた小五郎と目暮は、小さく息をつきながら爆弾発見時の状況を伝える。
「日没まで、あと15分……危ないところじゃったな」
解決の一報を聞いた阿笠は、オレンジ色に染まる街並みを病室の窓から見下ろしながら、安堵したように呟いた。
card.557
「いや……それが、まだ喜ぶのは早いんだ」
「え?」
そんな阿笠の言葉に、小さく首を振りながら目暮がためをつく。
「米花駅のキャリーケースと環状線仕掛けられた爆弾は、盗まれた爆薬の量からして僅か4分の1だそうだ…」
「……それじゃ残りの4分の3は、まだ犯人が持っているって事か」
快斗は、目暮の話を聞いて小さく目を見開きながらそう呟く。
「…………。」
コナンは目暮達の話を聞いて考えを巡らせるように眉を寄せた後に、チラリと快斗に視線を受ける。
(ほら……今だろ!)
(…え?さっきの話か?)
コナンが視線と表情で快斗に言いたい事を訴えると、快斗は眉を寄せながらチラリと目暮や小五郎に視線を向ける。
(ああ……とちるなよ!)
(……ったく、仕方ねェな)
「………コホン、」
快斗は自分に向けられるコナンのどこか信用していないような、不安気な視線に不服そうに眉を寄せながら、目暮達に声をかけるべく小さく咳ばらいする。
「……………。」
(この2人…仲が悪いくせに、よく視線だけで会話出来るわね)
灰原はそんな2人の静かなやり取りに、呆れたように肩を竦めながらもどこか楽しそうに口元に笑みを浮かべる。
「あのさ……警部さ、」
---ガチャ!!
「遅くなりました!!」
そんな灰原の視線に気付かずに、意を決して目暮に声をかけようとした快斗だったが、その言葉は無情にも勢いよく病室に入って来た白鳥に遮られる。
「どうだったかね?」
目暮も、白鳥に掻き消された快斗の言葉には気付かずに白鳥に声をかける。
「……………。」
(仕方ねェ…また、様子みて会話に割り込むか)
快斗はタイミングが合わなかった事に小さくため息をつくと、とりあえず白鳥の調べてきたという情報に耳を傾ける。
「…………。」
コナンは、そんな快斗の様子をため息混じりに見つめる。
「はい……例の岡本市長の息子である浩平ですが、今朝早くから伊豆の方へ出かけている事が分かりました」
「うーむ……という事はシロか」
「はい…」
そんな快斗とコナンを尻目に、手帳を開きながら捜査内容を説明する白鳥の言葉に、小五郎は小さく肩を落とす。
「ちなみに……あのキャリーケースの爆弾のタイマーを止めた理由が、犯人がタイマーが止まった近辺に住んでいるからではないか?という意見が捜査本部から出まして。その近辺のマンションや住宅の住人を調べましたが、全員アリバイがありました」
「うーむ、完全に手詰まりだな」
目暮は、眉間に深い皺を寄せながらため息混じりに呟く。
「……………。」
(そういえば……あの時、どうしてタイマーは止まったんだ?)
そんな白鳥達の会話を聞いて、コナンも小さく首を傾げる。
(さて、そろそろ……良いか?)
快斗は、何となく話の区切りがついたのを見計らって口を開く。
「……なぁ、警部さん」
「ん…何だね、黒羽君?」
目暮は、意外な人物から声をかけられて首を傾げる。
「俺……ちょっと、建築に興味があるんだけど」
「お前が建築にぃ!?」
「……………。」
(ほら見ろ、当然の反応だよな……これは俺も無理があると思うぜ)
快斗は、自分の言葉に明らかに不審そうな顔をする小五郎の言葉を聞いて内心ため息をつきながらも、この粗筋を考えた張本人であるコナンを一睨みする。
「…………。」
しかし、コナンは「早く続けろ」と言わんばかりにクイッと顎をあげて先を促すため、快斗は小さくため息をついてから言葉を続ける。
「それでテレビを見てて気付いたんだけど……さっき、環状線の映像が映った時に駿河運河の橋が映ったろ?あれ、森谷帝二の設計だと思うんだけど…」
「そ、そうなのか?」
「その通りだよ…あれは昭和58年に完成したもので、森谷帝二はこの橋の設計によって日本建築協会の新人賞を取ったんです。僕も少し建築に興味があるんですが、まさか君もとは意外ですね」
目暮は快斗の言葉に不思議そうに首を傾げるが、白鳥が快斗をチラリと見ながらそう告げる。
「ハハハ……まぁ、白鳥さんほどではないと思うけどな」
(やっべー、こいつも建築に詳しかったのかよ)
快斗は思わぬ伏兵の存在に内心ドキリとしながらも、自然な笑顔は崩さずに言葉を続ける。
「それから……もう1つ。最近、話題になってるあの連続放火事件の被害者宅。……あれも、森谷帝二の設計だと思うんです」
「え!!」
「それは、本当か?」
快斗の言葉に、目暮と小五郎は驚いたように顔を見合わせる。
「それは本当じゃよ。さっき黒羽君に言われてネットで調べてみたんじゃが……やはり森谷さんの作品じゃったよ」
そんな2人に向かって、阿笠がネットから探し出した資料を差し出しながらそう告げる。
「な…何!?」
「一体どういう事だ…?」
快斗と阿笠の情報に、話についていけない小五郎達は首を傾げる。
「それってさー…」
そんな2人の足元で、ふいに子供の声が響く。小五郎と目暮は、いつの間にか自分の足元まで来ていたコナンに不審そうに視線を向ける。
「連続放火犯と、爆弾事件の犯人の本当の狙いは……"森谷教授の作品″だったりして」
2人の視線の先では、コナンが小学生らしからぬ不適な笑みを浮かべながらそう告げた。