「時計じかけの摩天楼」編
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「それじゃ、車内から不審物は発見出来なかったんですか?」
「はい。現在走行中の21編成全車輪を車掌がくまなく探したんですが、車内にあった荷物には全て持ち主がいました」
東都鉄道の総合指令室では、運行部長である坂口と小五郎・目暮が話し合っている。
「……で、そちらの方は?」
「沿線数ヵ所から撮影されたビデオでも、車体の下に爆弾らしき物は見付かりませんでした」
「そうですか……」
「うーむ。となると、爆弾は一体どこに?」
しかし、一向に爆弾の在り処が分からない3人は、頭を抱えながら肩を落とした。
card.554
「あなた…さっき名前に電話してたんでしょ?」
「ん?ああ、したけど」
突然足元から灰原に声をかけられて、快斗は視線を灰原に向けて不思議そうにそう答える。
「ふふ……喧嘩してから数日ぶりの連絡だっていうのに、随分一方的な会話だったわね」
病室の入口で電話していたため、快斗の会話が聞こえていた灰原は小さく笑いながら告げる。
「………あー、そういえば…そうだな」
(やべ……あの時は名前ちゃんが心配すぎて、喧嘩してんの忘れてた)
快斗は灰原の言葉を聞いて、久しぶりの電話だというのにかなり一方的に話しを進めたうえに、そのまま電話を切ってしまった事を思い出して、ため息をつきながら頭を掻く。
「あれ?でも、哀ちゃん…名前ちゃんから俺達が連絡とってないって聞いてたの?」
「いいえ。でも、あなたが名前の予定や行動を把握していないあたり、まだ連絡とってないのが分かるじゃない」
「…………。」
「ちなみに、名前は今日は彼女に1日付き添うって言ってたわよ」
「………彼女?ああ、そうか蘭ちゃんか」
(そうか…だから米花シティビルに…)
灰原の言葉に一瞬首を傾げた快斗だったが、先程聞いた名前の居場所から蘭の存在を思い出して納得したように頷く。
「工藤君と彼女、夜の映画の約束でしょ…確か。その時間まで、彼女も…もちろん名前も駅にも行かないだろうし…電車にも乗らないだろうから安心しなさい」
「それは、それは……貴重な情報をありがとう」
(映画の時間までは、米花シティビルにいるって事は…とりあえず名前ちゃんが巻き込まれる可能性がないだろうし、一安心だな)
快斗は電話の忠告だけではまだ不安が残っていたために、灰原の話を聞いて小さく安堵の息をついた。