「時計じかけの摩天楼」編
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「あら…もう16時だわ」
(やっぱり蘭といると、時間がたつの早いわね)
米花シティビル内のショップを見て回りながら、蘭と買い物をしていた名前は、ふと壁に設置された時計を見て目を丸くする。
「本当だー早いね!それにしても、何の連絡もないけど新一の奴ちゃんと来るかしら」
「そうねぇ……」
(さて……刻々と22時に近付いてるけど、新一どうする気かしら?)
名前はポツリと呟かれた蘭の言葉に、何と言葉を返そうかと困ったように視線をさ迷わせる。
---ピリピリピリ…
そんな名前を助けるかのようなタイミングで、名前の鞄の中から携帯の着信音が鳴り響く。
「あれ……誰だろう?蘭ちょっとごめんね」
「うん、全然良いよ!私はこの辺のお店適当に見てるから、気にしないで」
名前は、蘭に断りを入れて携帯を片手に人通りの少ない所まで移動した。
card.551
---ピリピリ…
「…え、快斗!?」
携帯に表示された名前に、名前は思わず目を見開く。
---ピリピリピリ…
「…………。」
(やだな……何か、久しぶりだから…緊張してきちゃった)
付き合ってからは当たり前のように快斗と電話をしたり連絡をとっていたが、喧嘩をしてから数日…久しぶりにかかってきた恋人からの電話。名前は片思いの頃に戻ったように胸の鼓動が高まるのを感じ、小さく息をつきながらゆっくりと通話ボタンを押す。
「も…もしも…」
『名前かっ!?オメー、何ですぐ出ねェんだよっ?』
しかし意を決して電話に出た名前の言葉を遮るように、快斗の怒ったような声が耳元に響く。
「………はあ?ちょっと、快斗…急に何なのよ?」
(ようやく連絡してきてくれたと思ったら、何でいきなり怒られなきゃならないのよ…)
久しぶりの電話だというのに、突然の快斗の態度に、さすがの名前も僅かに苛立ったように言葉を返す。
『そんな事より、オメー今どこにいるっ!?』
「………米花シティビルだけど?」
(そんな事!?)
一方的に話を進める快斗に、名前は不服そうに言葉を返す。
『米花シティビルか……』
「?」
(何かあったのかしら…?)
名前の言葉に、どこか安堵したような反応を示す快斗。その声を聞いた名前は、少し冷静さを取り戻して首を傾げる。
「ねぇ……快斗?もしかして何かあったんじゃ…」
『……なっ!あいつら乗っちまったのかよ…クソッ!』
しかし名前の言葉を遮るように、快斗は電話の向こうで誰かに向かって何かを話し始める。
「ちょっと?快……」
『とにかく、オメーはそこ動くんじゃねーぞ!!帰るにしても電車は使うな!駅にも近付くなよ!!分かったな!!』
---ブッ、ツーツー
「はあ?……このタイミングで切る?信じられない」
名前は一方的にそう怒鳴られて、そのまま通話を切られた電話を握りしめて眉を寄せる。
「……何よ、何があったか知らないけど…緊張して電話に出た私が馬鹿みたいじゃない」
(ここ数日……連絡とれなくて、寂しいって感じてたのは私だけだったのかしら……)
そして電話が切れた事で急激に沸き上がった寂しさを誤魔化すように、携帯をギュッと握りしめると、小さくため息をついて蘭の元へ足を向けた。