「時計じかけの摩天楼」編
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「た…だの脅しでしょう。環状線に爆弾なんて…」
「いや…キャリーケースの件もあるんだ!!奴は本気だろう。恐らく……午後4時に起爆装置がスタンバイの状態になって、その後速度が60キロを割ると爆発する仕掛けになっているんだろう」
「!!」
小五郎の言葉を否定して、目暮はそう言いながら上着から携帯を取り出す。
「とにかく…本庁に連絡をしてくる!」
そして、携帯を手に目暮は病室を一度後にした。
card.550
---東都鉄道ターミナル駅
----東都鉄道総合指令室
「えーっ!?環状線に爆弾がっ?」
「ああ…たった今、警視庁から緊急連絡があった。」
「わ…分かりました!すぐに全車輌を止めて車内点検を…!!」
突然の事態に、指令長である楠は動揺しながらも車内点検を提案する。
「いや、止めるわけにはいかないんだ!!」
しかしその提案を、運行部長である坂口は眉を寄せながら険しい表情で否定する。
「その爆弾は、午後4時を過ぎてから時速60キロ未満で走行した場合…爆発する仕掛けになっているらしい!」
「な…何ですって!?」
「すぐに環状線…全車輌に60キロ…いや、70キロ以上で走行するように指示を出してくれ!!」
「駅に停車している電車は?」
「直ちに発車だっ!!!」
「止まろうとしている電車は!?」
「通過だ、通過っ!!とにかく爆弾が見つかるまでは、全車輌ノンストップ走らせるしかないんだ!楠君っ!!」
---ドンッ!
呆然としている楠を、坂口は机を叩いて急かしつける。
「わ…わかりましたっ!」
楠は冷汗をかきながらも、急いで全列車に通ずる指令マイクのスイッチをonにして緊急指令を発令する。
『緊急指令!緊急指令!!全車輌に告ぐっ!!何者かによって爆弾を仕掛けられたっ…スピードが60キロ未満になれば爆発する!全車輌、70キロを維持せよ!!』
「なっ……!?」
「ば、爆弾!?」
通信が入ったいくつもの車輌の運転席では、運転士達が突然の情報に目を見開くが、慌てて走行速度を70キロまで上げていく。
「なぁ…この電車、何だかおかしくないか?」
「何がおかしいの?元太君」
「だってよぉ…もうすぐ米花駅なのに、だんだんスピードが速くなってるぞ?」
その頃、東都環状線を走る列車の中の1つの列車に乗って病院から米花駅に向かっていた元太達は、どんどんスピードを上げていく列車に首を傾げる。
「確かにそうですね…」
『お客様にお知らせいたします…緊急事態発生のため、この電車は次の米花駅を通過いたします』
元太の言葉を聞いて、光彦が辺りを見渡したのと同じタイミングで車内にアナウンスが響く。
「「「えーっ!?」」」
---ゴォォォ!!
『一番線に到着予定の当東環状線外回りは、緊急事態のため当駅を通過致します』
光彦達の乗る列車だけでなく、何輌もの列車が到着予定の駅を素通りして通過していく。そんな様子を、列車内の乗客やホームにいる人々は首を傾げながら見つめている。
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---カチッ、
「……16時だ」
その頃、列車の状況が分からない病室では、阿笠達がそわそわと落ち着かない様子で眉を寄せている中、快斗が時計を見てポツリと呟く。
「……そうですか、わかりました!」
---ピッ、
そんな快斗の側で、目暮は安堵したように小さく息をつきながら携帯を切る。
「とりあえず…爆発した列車はなかったようだ」
「あとは…爆弾のある場所の特定ね」
目暮の言葉に、灰原は小さく息をつくとポツリと呟く。
「そうじゃな。そういえば!歩美君達、米花町に戻るのに緑台駅から環状線に乗っているんじゃないか!?」
「!?」
阿笠の言葉に、コナンは眉を寄せてハッと息をのむ。
「そうかっ……くそっ!」
(そういえば……その可能性も少なくねぇよな、何で気付かなかったんだ!?)
---ガラッ!!
そんなコナンの隣で、快斗も阿笠の言葉に反応して何かを思い出したように慌てて病室を出て行く。
「…………。」
そんな快斗の背中を、灰原は黙ったまま見送った。