「時計じかけの摩天楼」編
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「ふむ……もう心配はいりませんね。先程の脳波の検査にも異常は見られませんでしたし。明日には退院出来るでしょう」
コナンの診察を終えた医師は、優しく微笑んでそう告げる。
「黒羽さんも…怪我自体はそこまで心配ありませんが、しばらく無理な運動は控えてくださいね」
そして、入口近くに立っていた快斗にもそう声をかけて病室から出て行った。
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「なるほど…じゃあ、コナン君と黒羽君は他の人を爆発から守るために、あの空地に向かったのか」
医師が出て行った後、コナンから詳細を聞いた目暮は顎に手をあてながら小さく頷く。
「俺は、こいつと偶然途中で会って協力しただけなんで。爆弾とか、事件の詳細は知りませんでしたけど」
目暮から視線を向けられた快斗は、小さく肩をすくめながら言葉を返す。
「あっ、そういえば……犯人からの連絡は、新一兄ちゃんの携帯電話にかかってくるんだ!!警部さん、新一兄ちゃんの携帯は?」
そんな中、コナンがふと思い出したように辺りを見渡しながら目暮に尋ねる。
「それなら大丈夫よ。博士が事情を警部さんに説明して、爆発現場で探してもらったけど壊れてなかったわ。…はい」
「ああ……悪ぃな」
そんなコナンに、灰原が一歩近付きながら携帯を手渡す。
「そんな事よりコナン!どうしてこんな無茶をしたんだっ!?」
「………え?」
携帯を受け取って安堵したように小さく息をついたコナンだったが、小五郎にグイッと詰め寄られて思わず目を丸くする。
「もう少しで死ぬところだったんだぞ!!お前も……それから黒羽も、まだガキなんだ!自分達だけで無茶するんじゃねぇ!!」
「あ……うん」
「すみません……」
いつもの小五郎とは違い、真剣な表情でそう告げる小五郎に、2人は戸惑いながらも頭を下げる。
「…………。」
(このおっさん、普段はふざけた人に見えるけど…根は良い奴なんだな。……名前ちゃんが慕ってるわけだ)
快斗は知り合って以降、あまり会話した事のなかった小五郎の意外な一面に驚きつつも、昔から名前と付き合いがあり、普段から親しくしているのを思い出して納得したような気持ちになる。
「……ったく、それにしても新一の奴はどうしたんだ?その男は新一に電話してきたんだろ!?」
「あ…じゃから、新一君は別の用事があって……それでコナン君に頼んだんじゃよ」
小五郎のもっともな疑問に、阿笠が慌てて答える。
「子供にそんな事を頼むなんて、なんて野郎だ!!今度あったらただじゃおかねぇっ!!」
「……だってよ、名探偵」
意気込んでいる小五郎を見ながら、快斗はコナンの横に並ぶとニヤリと笑いながら、わざとらしくそう声をかける。
「………ははっ」
(……俺が、その工藤新一だなんて…とても言えねェよな)
コナンは、乾いた笑みを浮かべながら肩を落とした。
「うーむ…とにかく、今回の爆弾は…やはりあの東洋火薬の火薬庫から盗まれた物だろう」
息巻く小五郎を尻目に、目暮が小さく息をつきながら本題の事件の話題を始める。
「……RCの爆弾は、雷管を付けて衝撃爆弾。キャリーケースの爆弾は、タイマーを接続して時限爆弾にしてありました」
「しかし、そのタイマーが一度止まったというのが気になるな」
白鳥が手帳を取り出して爆弾の特徴を告げると、小五郎も顎に手をあてながら思考を事件へとシフトしていく。
「……タイマー、1回止まったのか?」
「ああ。オメーと会う少し前にな」
「ふーん…」
目暮達の会話を聞いて、事件の詳細を知らない快斗は、小声でコナンに尋ねながら考えを巡らすように腕を組む。
(……っていうか俺、こいつらと会ってから探偵じゃねェのに推理に参加するのが当たり前みたいになってる)
しかし当たり前のように事件について考えを巡らせ始めている自分に気付いて、周りに気付かれないように小さく苦笑する。
「……その事なんだが、1つはタイマーが故障してしまった場合。もう1つは、犯人の何らかの理由により遠隔操作で止めた場合の2つが考えられる」
「そうじゃな…」
「犯人はわざわざ工藤君に電話をしてきたところから見て"高校生探偵″工藤新一の評判を知って挑戦して来たか……あるいは、個人的に恨みのある人物を考えている。」
「…………。」
(まぁ……あれだけ事件解決してれば、多少は恨みも買ってるだろうな)
快斗はチラリとコナンに目を向けながら、納得したように頷く。
「しかし……調べましたところ、工藤新一が解決した事件の犯人は、現在全員刑務所に服役しているんです」
「ふぅむ……と、なると犯人の家族や恋人か?」
目暮や小五郎達は、現在ある情報の中で真剣な表情で考えを巡らせていった。