「時計じかけの摩天楼」編
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「まったく。あなたが、ダラダラと誘いを断れずにいるのは勝手だけど…そのせいで昨日彼の青春相談に乗る羽目になったのよ。まぁ……喧嘩したのは、あの2人の勝手だけど…少なからず他人を巻き込んでるんだから、少しは反省したら?」
灰原は珈琲に口をつけて小さく息をつくと、チラリとコナンを見ながらそう告げる。
「あん?何の事だよ?」
しかし灰原の言葉に心当たりがないコナンは、眉を寄せて不思議そうに首を傾げる。
card.539
「あら……名前から何も聞いてないの?」
「え、名前?あいつどうかしたのか………」
---プルルル…プルルル
コナンの反応に目を丸くする灰原とコナンの会話を遮るように、阿笠邸の電話の着信音が響き渡る。
「んー?誰じゃろな。………はい、もしもし?」
阿笠は、マグカップを置いて首を傾げながら電話に手を伸ばす。
「え……ああ、少々お待ちください。………新一、君にだ。」
阿笠は用件を聞いて僅かに目を見開くと、受話器の口元を押さえて小声でコナンに告げる。
「え…俺に?俺に電話なんて珍しいな……ちょっと待ってくれ。えーと、変声機どこに置いたかな…」
"江戸川コナン″になってから、ほとんど自分宛ての電話などなかったため、不思議そうに首を傾げながら、横になる時に脱いだ上着の中からガサガサと変声機を探す。
「どうして工藤君宛ての連絡がここに来るの?」
そんなコナンを横目で見ながら、灰原が阿笠に尋ねる。
「ああ…新一の家にかかってきた電話は、全てここに転送されるように最近手続きしたんじゃ」
「あら…そうだったの?」
「悪ぃ、博士!貸してくれ………はい、もしもし?」
灰原達がそんな会話をしていると、ようやく変声機を見つけたコナンが阿笠から受話器を受け取る。
『工藤新一か?』
「…はい、そうですが?」
(この声…変声機か?)
コナンは、電話相手の声に違和感を覚え僅かに眉を寄せる。
「………。」
そんなコナンの僅かな変化に気付いた灰原は、手にしていた雑誌を閉じてコナンに視線を向ける。
『テレビのニュースを見たか?』
「え…ニュース?いや、見ていませんが?」
コナンはそう答えながらチラリと灰原に視線を向けると、灰原は小さく頷いてリビングのテレビをつける。
『…次のニュースです。一昨日東洋火薬庫から、オクトーゲンを含む大量の爆薬が盗まれた事件では、依然として犯人の手掛かりは掴めていません』
「…………。」
(……オクトーゲンが大量に?オクトーゲンをプラスチックで固めたものが、プラスチック爆弾よね)
「これは大変なニュースじゃの」
電話をしながらテレビに目を向けるコナンの側で、灰原と阿笠も真剣な表情でニュースを見つめる。
『次のニュースです。昨夜遅く、山手区葉井戸長の黒川さん宅から火が出て、付近の家数件が類焼しました。人気のないところから火が出たため、警察では放火との見方を強めています』
「!?」
(この家、この間の殺人事件があった黒川邸だ)
コナンは、つい数日前に訪れたばかりの黒川邸が燃え盛る映像に目を見開いた。