「時計じかけの摩天楼」編
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---5月3日(土曜日)
「じゃあ…夕飯は、お父さんと2人で出前でも取って食べてね!」
「う…うん」
コナンは、"工藤新一″との待ち合わせよりだいぶ早い時間に事務所を出ようとする蘭を、玄関先で気まずそうに見送っていた。
card.538
「ら、蘭姉ちゃん……夜が約束だよね?随分早くない?」
「ああ……名前がね、新一が来るまで付き合ってくれるみたいだから。それまで一緒に買い物する約束になってるのよ」
「あ…そうなんだ~」
(やべェ……そういや、名前にあれ以降連絡してなかったな……あいつも今日の事気にしてくれてるんだろうな…きっと)
コナンは、今日の夜の自分との待ち合わせの時間まで蘭に付き合ってくれるという名前に内心感謝をしながらも、連絡していなかった事を思い出して眉を寄せる。
「それじゃ……とにかく、私はそろそろ約束の時間だから」
「あ……うん、そうだよね。行ってらっしゃい」
そんなコナンを尻目に、蘭は軽く手を振ると楽しそうにニコニコしながら出掛けていく。
「………夜の10時まで……本当に困った」
コナンは、そんな蘭の背中を見送りながらガクリと肩を落とす。
(とりあえず……博士の所にでも行くか)
そして、約束の時間までどうする事も出来ないコナンは、頭を掻きながら小さくため息をつくと阿笠邸へと足を向けた。
---コポコポ…
「だから、もっと前に断りゃ良かったんじゃ!」
阿笠は珈琲を注ぎながら、突然訪ねてきて平然とソファに寝そべるコナンを見て呆れたように告げる。
「仕方ねェじゃねーか!毎日楽しそうにカレンダーに向かう蘭を見てたら、とても断れねェよ!」
「………そうは言ってもなぁ」
阿笠は珈琲をコナンの前に置いてコナンの向かいに腰を下ろすと、困ったように小さくため息をつく。
---ガチャ、
「……あら、来てたの?」
そんな時、地下室へ続く扉が開き欠伸をしながら灰原が入って来る。
「……なぁ、灰原。解毒剤……」
「駄目よ」
おずおずと灰原に声をかけるコナンの言葉を、灰原はサラリと遮って珈琲をマグカップに注ぐ。
「あなたは、簡単に"解毒剤″、"解毒剤″って言うけど…薬である以上、それ相応の弊害を伴うのよ?ただでさえ、まだ試作段階だっていうのに………緊急事態ならまだしも、今回は約束を断れずにダラダラ引き延ばしたあなたの責任でしょ?」
「…………。」
(ハハハ…だよな。灰原が、こんな理由で解毒剤くれるわけねェか)
期待を裏切らない灰原らしい返答に、コナンは小さく苦笑した。