「時計じかけの摩天楼」編
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「そういえば、蘭…明日は何の映画見るの?」
明日の話が纏まったところで、園子がふと思い出したように尋ねる。
「"赤い糸の伝説″よ!予告やってる頃から見たかったんだ!」
「!」
蘭が笑顔で答えた言葉に、名前は小さく息をのんだ。
card.537
--名前ちゃんと観るなら、ラブストーリーが良いんじゃねーか?--
--あら?快斗、ラブストーリーなんて嫌じゃない?--
--別に嫌じゃねーよ。ホラーはなしとなると、アニメか恋愛ものが無難だしな。それに俺、赤い糸って……--
「……………。」
(そういえば、あの時の快斗……何て言おうとしたのかしら?)
名前は、頬杖をつきながら快斗と映画の話をしていた時の事を思い出してぼんやりと考えを巡らす。
「………名前?」
「ねえ、名前ったら!」
「え?」
快斗の事をぼんやりと考えていた名前だったが、名前を呼ばれた事に気がついて視線を蘭と園子に向けると、今まで映画の話題で盛り上がっていた2人が、いつの間にか自分に視線を向けている。
「何…どうしたの?」
(……考え事してたら話振られてるの気付かなかったわ)
「だーから、明日蘭のデートに1人で付き合うんだったら、黒羽君と来たら良いじゃないって言ったの!」
「ちょっと…園子、デートじゃないったら…!」
「え…?」
照れる蘭の横でそう提案する園子の言葉に、名前は僅かに目を見開いて口ごもる。
「あ……いや、そうねぇ。快斗は…どうかしら?」
そして、戸惑いながらも園子の提案に否定的に言葉を返す。
「何よ?黒羽君、明日は都合つかないの?」
「いや……今は、そういう感じの状況じゃないっていうか……」
不思議そうに首を傾げる園子に、どこか言い辛そうに答える名前の言葉に蘭は眉を寄せる。
「名前……何か今日、様子がおかしいなって思ってたけど……もしかして、黒羽君と何かあったの?」
「え……そうなの!?」
蘭の言葉に、園子も驚いたように名前に視線を向ける。
「いや…何かあったって言うほどじゃ……」
(……ないと信じたいけど)
名前は、深刻そうに尋ねてくる蘭と園子に首を横に振りながら曖昧に言葉を返す。
「そうなの?」
「何があったのよ!?」
「んー、ちょっと私が快斗の冗談を真に受けて……怒っちゃったというか…それで今ちょっと気まずい感じなの」
更に問い詰めてくる2人に、名前は困ったように言葉を返す。
「あら……簡単には怒らない名前にしては、何だか珍しいわね」
蘭は、名前の言葉に目を丸くしながら園子と顔を見合わせる。
「でも、黒羽君いつもあんなに名前の事大事にしてくれてるんだから…そんなに怒っちゃ駄目よ?」
「………そう、かな?」
(まぁ…確かに快斗は優しいと思うけど……)
意外にも快斗を支持するかのような蘭の発言に、名前は意外そうに首を傾げる。
「確かにそうよねー!ほら!!名前が撃たれた時なんて、誰よりも心配してたし。あんな人なかなかいないわよねー」
そんな中、蘭の意見に同調するように頷く園子。
「……………。」
(あら…まさか、二人とも快斗派だとは思わなかったわ)
名前は2人から諭されるように声をかけられて、どこか気まずそうに曖昧に微笑む。
「事情を知らない私達が言うのもアレだけどさ…早く仲直りしたら?」
「そうね。何があったのか知らないけど、困ってるなら相談に乗るよ?」
「……ありがとう。でも本当に大丈夫だから。蘭は明日のデートに集中して?」
(こんなに親身になってくれる蘭に、まさかそのデートが原因だとは言えないわね)
名前は内心小さくため息をつきながらも、蘭と園子に相談出来る内容でもないため、ニッコリと微笑んで言葉を返した。