「時計じかけの摩天楼」編
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--5月2日
「名前ー!こっちこっち!」
ガヤガヤと人に溢れる駅前で辺りを見渡していた名前は、後ろから声をかけられてくるりと振り返る。
「蘭、園子お待たせ!」
そこには、楽しそうに手を振る友人達の姿があった。
card.532
「それで…今日はどこに行くの?」
園子と蘭と合流した名前は、買い物には誘われたものの、詳細を聞いていなかったため改めて蘭達に尋ねる。
「今日はねー、蘭の旦那のプレゼントを買いに行くのよ!」
「ちょっと……園子っ!旦那じゃないってば!!」
名前の質問にニヤニヤしながら答える園子の言葉に、蘭が慌てて反論する。
「…………。」
(ああ……新一のね)
名前はそんな2人のやりとりを聞いて納得したように、頬を赤らめている蘭に視線を向ける。
「なかなか帰って来ない旦那と、ようやくデートの約束を取り付けたんだもんね!プレゼントも奮発しなくちゃねー、蘭?」
「もーっ!園子ったらからかわないでよ!!」
「……………。」
(凄い盛り上がってる……新一から連絡ないけど、蘭のこの様子じゃまだ断れてないみたいだし、明日どうするつもりかしら?)
名前は笑顔で蘭と園子の会話を聞きつつ、快斗と喧嘩したあの夜から新一からの連絡がないが、明らかに蘭との約束を未だに断る事が出来ていないであろう目の前の現状に、内心小さくため息をつく。
「……それで?蘭はプレゼントは何にするかもう決めたの?」
しかし新一の事情を把握してはいるものの、さすがに話を合わせないわけにもいかない状況のため、名前は蘭にそう尋ねる。
「うーん…一応いくつか考えたから、あとは実際に見て決めようかなって思って」
「そういえば…詳しく聞いてなかったけど、今日はどこに行くの?」
蘭をからかっていた園子も、ようやく本題に戻って蘭に尋ねる。
「明日の下見も兼ねて米花シティビルに行こうかなって思ってるんだけど……あそこ結構たくさんショップが入ってたでしょ?」
「ああ……そういえば、あんた達明日の夜は米花シティビルで映画見るって言ってたもんね」
「米花シティビル…」
(この間、快斗と買い物しに行った時は楽しかったのに……あの時はまさか、あんな喧嘩になるなんて夢にも思わなかったなぁ……)
名前は蘭と園子の会話を聞いて、ぼんやりと快斗との買い物の様子を思い返しながら小さくため息をつく。
「……名前?」
「どうかした?」
そんな名前の様子に気付いた蘭と園子は、会話をやめて心配そうに名前の顔を覗き込む。
「……え?」
「名前……今日は来た時から口数少ないけど、元気ない?」
「何かあったの?」
「……そんな事ないわよ?さっ、買い物行くんでしょ?早く行きましょう」
「そうー?」
「何かあるなら言ってよね!」
「ええ、ありがとう」
名前は、蘭達に余計な心配をかけまいとニッコリと微笑む。
(そういえば、快斗と付き合ってから…こんなに会話しないの初めてかもね)
「……………。」
(そもそも私が怒ったのが原因なんだし、私から連絡した方が良いのかしら?快斗から連絡してきてくれると思ったんだけどなぁ…)
名前はあの日以来、快斗と会話も連絡もしていない今の状況に寂しさを覚えながらも、それを誤魔化すように笑顔で蘭達と言葉を交わした。