「時計じかけの摩天楼」編
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「あーあ、俺の名前ちゃんが俺を置いて帰って行く…」
快斗は窓から校門を見つめながら、うなだれたように呟く。
--パチン、パチン…
「突然俺の所に来て、何なんだ?お前は」
教材室で資料作りをしていた中村は、窓にへばりついている快斗の背中を横目に見ながら、パチン…パチンと資料をホッチキスで止めていく。そして、呆れたようにため息をついた。
card.529
「……名前ちゃん」
「黒羽、用がないなら早く帰れ。その負のオーラが邪魔だ……名字の下校姿が見たいなら、教室からでも見えるだろう?」
中村が声をかけても一向に返事もせずに外を眺め続けている快斗に、中村はため息混じりにもう1度声をかける。
「…ったく、ひっでーな!中村ちゃん。目の前で、可愛い生徒がこんなに悩んでるってーのに」
名前の姿が見えなくなるまで見送ると、くるりと振り返った快斗がようやく口を開く。
---パチン、パチン…
「……………。」
「え、ちょっと…何があったか聞いてくれねーの!?」
中村はチラリと快斗を見た後に、無言で資料作りを続けるため、快斗は拍子抜けしたようにもう1度声をかけながら、中村の向かいの椅子に腰を下ろす。
「言わずもがな…名字と喧嘩でもしたんだろう?そういう青い相談なら、林達に聞いてもらったらどうだ?」
快斗の言葉に、中村は仕方なく言葉を返す。
「林と桜井は駄目だ。あいつら、俺が名前ちゃんを押し倒したのが原因だって言うんだぜ!?」
「……………。」
「俺がどんなに名前ちゃんを大事にしてるのか、あいつら分かってねェんだ!!そう思わねーか?中村ちゃん!」
「お前なぁ、その話題は担任に振る話題じゃないだろ。俺はあくまで、"担任の立場″として健全な付き合いを推奨するぞ、黒羽」
(仮にも、こいつらまだ高校生だし…)
---バンッ!
「だーかーら、"それ″が原因じゃねーんだって!」
自分に向かってジト目を向けて来る中村に、快斗は机を叩いてムキになって反論する。
「分かった、分かった……じゃあ、何なんだ?原因は」
中村はムキになる快斗にヒラヒラと手を振りながら、仕方なく原因を尋ねる。
「……それは、俺の冗談」
「………………。」
「………………。」
「………それだけか?」
ポツリと返された快斗の一言に、中村は作業の手を止めて尋ねる。
「や、何と言うか……詳細は説明しにくいんだよ」
(名探偵とキッド絡みの話題だし…)
「お前な。それで、本当に相談する気あるのか?」
中村は、そんな快斗の言葉に呆れたように頭を掻くと更に言葉を続ける。
「………じゃあ、その冗談っていうのはどんな冗談なんだよ?」
「それ…は……」
中村の質問に、快斗はしばらく視線をさ迷わせた後にゆるりと口を開いた。