「時計じかけの摩天楼」編
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「蘭ちゃんが、名探偵を映画に?」
「ええ……新一、誘われた時にうまく断れなかったみたいだから。でも新一が行けるはずもないでしょ?だから困ってるの」
名前は快斗に簡単に事情を説明しながら、小さくため息をついた。
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「まぁ……確かに、今の名探偵じゃ無理だよな」
(っていうか、俺あいつが小学生やってる理由知らねーけど……やっぱり簡単に戻れねぇんだよな?きっと)
快斗は名前に言葉を返しながら、自分の隣で何か打開策はないのかと考えを巡らせている名前をチラリと見てぼんやりと考える。
(今まで、あんまり気にした事なかったけど。今どういう状況なんだ?あいつ……)
快斗は、江戸川コナン=工藤新一という事実は知っていたが、コナンやその周りを取り巻く人物達の細かい事情は知らない。今までは大して興味もなかったが、名前と付き合うようになった今となると話は違う。コナンの事情に、名前も何かしら関わっているのなら、快斗もそれを把握しておきたいと思うようになった。
「まあ、ここで考えていても仕方ないし…明日にでも蘭に3日の予定とか…何気なく連絡して聞いてみようかしら」
そんな快斗を尻目に、名前は独り言のようにそう呟く。
「何とかなりそうか?」
「うーん……まぁ関係ない私が何を言っても、蘭と新一の約束を無しにするっていうのは、さすがに無理だから。最終的には新一次第になると思うわ」
「そっか…」
(事情はよく分かんねェけど、名前ちゃん困ってんなぁ…)
髪をバサリと掻き上げながら困ったように言葉を返す名前の姿に、快斗もどうにか名前の力になれないものかと考えを巡らす。
「あっ…!!」
「どうしたの?」
そして突然何かを思いついたように声をあげた快斗に、名前は不思議そうに首を傾げる。
「どうしても駄目だったらさ……俺が、変装してやろうか?"工藤新一″に」
「……え?」
得意気に告げる快斗の言葉に、名前は驚いたように目を見開く。
「この間も1回蘭ちゃん達の前で工藤新一になってもバレてなかったろ?映画見てる間は、会話もねーしうまくいくんじゃねーか?」
「…………。」
(確かに快斗の変装なら、バレる・バレない以前に完璧に新一になり切るんだろうけど。でも、なんかそれって……)
快斗の提案に、名前はどこかもやもやした感情が沸き上がってきて僅かに眉を寄せる。
「……名前ちゃん?」
「え……あ、いや…」
黙り込んでしまった名前に、快斗は不思議そうに首を傾げる。名前は自分の感情を抑えつつ、何と返そうか視線を僅かにさ迷わせた後に口を開く。
「で……でも、快斗の提案は有り難いけど。今の新一は…そもそも、あんまり人の多い場所に姿を現すのもよくないから」
(実際、黒ずくめの組織の事もあるし……)
「?」
(……そうなのか?)
事情を知らない快斗は、戸惑いがちに告げられた名前の言葉に不思議そうに首を傾げた。