「時計じかけの摩天楼」編
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「はい。もしもし……どうしたの?」
名前は電話に出ながら、スッと立ち上がるとキッチンに向かう。
「え、今?……ふふ、まぁ正直に言えばお邪魔なタイミングだけど」
キッチンに向かう名前は、チラリと快斗を見ながら小さく笑って電話口に向かいそう答える。
「…………。」
(正直も何も、すっげェ邪魔だろ。……名探偵の奴、たまにわざと電話してんじゃねーかと思うぜ)
電話の向こう側のコナンの言葉は聞こえない快斗にも、名前の表情からだいたいの会話の内容が分かって小さくため息をついた。
card.523
「そういえば、今日ガーデンパーティーどうだったの?………え?それどころじゃないって、どうしたのよ?……ああ、うん。……5月3日?」
「…………。」
(キッチンで電話してても、意外と聞こえんなぁ…)
快斗はソファのひじ掛けに頬杖をつきながら、チラリと名前の声が聞こえてくるキッチンに視線を向ける。
「えっ?映画に誘われた!?」
「?」
(映画…?)
快斗がキッチンに視線を向けたのと同じタイミングで、珍しく驚いたような声をあげた名前。快斗は、その様子に不思議そうに首を傾げる。
「……それで、何て返したのよ?……え、うん。……はあ?断れなかった?」
快斗のいるリビングに聞こえてくる名前の声は、どこか深刻そうでため息混じりに相槌を打っている。
「あなたね……しょうがねーって言っても、1回誘いを受けておいて改めて断る方が難しいし…蘭が可哀相じゃない!それに蘭が盛り上がってるのは、新一が誕生日だからでしょ?」
名前は、小さくため息をつきながら前髪をくしゃくしゃと掻く。
「ええ……私から言っても難しいと思うけど。私からも蘭に聞いてみるから。………ええ、そうね。でも自分で何とかするのが1番だと思うわよ。うーん……そうね、分かった。とにかくまた連絡するから。……うん、またね」
名前はピッと電話を切ると、何度目か分からないため息をつきながら携帯をポケットにしまう。
「ごめんね、快斗……話の途中だったのに」
そしてリビングに顔を出して、いつものように快斗に声をかける。
「いや…良いけど。どうしたんだよ?何か深刻そうな話してたじゃねーか」
「うーん……そうね」
名前は快斗の言葉に小さく苦笑しながら頷くと、快斗の隣に腰を下ろす。
「どうしたんだよ?何かあった?」
(映画がどうとか言ってたけど……名探偵からの電話だし、また事件絡みか?)
「ふふ、そんな深刻な内容じゃないんだけどね」
名前は心配そうに尋ねる快斗を安心させるように微笑む。
「蘭がね、新一を映画に誘ったらしいのよ」
そして小さなため息とともに、ポツリとそう告げた。