「時計じかけの摩天楼」編
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「こちらです。さ……自由にご覧ください!」
「わぁ…!!」
屋敷の中の一室に通された蘭とコナン。"ギャラリー″と呼ばれたその部屋には、森谷が今まで建築した建造物の写真が建築された年月順に飾られていた。
card.521
「………あれ?」
壁に飾られた写真を眺めていたコナンは、1つの写真を見て小さく声をあげる。
「どうしたの?コナン君」
「蘭姉ちゃん…ほらこの写真の家、この前の……」
「…ん?」
蘭は、コナンに指さされた写真をコナンの横から覗き込む。
「あら、そうよ……黒川さんのお宅だわ!」
そして、その写真の中の見覚えのある建物にコナンと顔を見合わせる。その建物は、先日家主の黒川大造が殺害された黒川邸だった。
「そう言えば黒川さん…殺されたんでしたね」
「ええ」
「黒川さんの家は、私が独立して間もない頃の作品でしてね……この先の写真のものは、みんな30代から40代前半の頃のものです。若い頃は、まだ未熟でね。あまり見ないでくれたまえ…」
森谷は黒川邸の写真から先に並ぶいくつかの写真に目を向けながら、照れたように苦笑する。
「…………。」
(へぇ……建物だけじゃなくて、橋まで設計してるんだな)
コナンはそんな森谷の言葉を聞きながら、森谷の言う"若い頃の作品″にチラリと目を向ける。
「……ところで、蘭さんは工藤君とは親しいのですか?」
写真を眺めているコナンの後ろで、森谷はふいに蘭に声をかける。
「え?ええ、まあ…彼とは幼なじみで、高校も一緒なんです。ただ、ここんとこしばらく会ってなくて」
蘭は突然の質問に首を傾げながらも、新一との関係を森谷に説明する。
「おや……」
「でも、今度の週末に久しぶりに会って映画を見る約束をしているんです!」
「!!」
(やっべ。そういえば映画の事、どーすっか考えてなかったぜ…)
コナンはそんな森谷と蘭の会話を聞いて、蘭から映画に誘われた事を思い出す。
「それは楽しみですね」
そんなコナンを尻目に、森谷は優しく微笑んで蘭に言葉を返す。
「はい……結構、無理矢理約束をごきつけちゃたんですけど。彼、実は日曜日が誕生日なので……久しぶりに会えたら嬉しいなって!」
「!!」
(誕生日…!そうか、5月4日は俺の誕生日か。だから、こいつ5月3日からのオールナイトの映画にこだわってるのか……)
コナンは、2人の会話で5月3日からのオールナイトの映画に誘われた理由にようやく気がつく。
「……あら、これ米花シティビルじゃないですか?」
そんな中、蘭はふいに1つの写真が目に入って森谷に尋ねる。
「そうですが?」
「私達、ここの米花シネマ1で映画を観るんです。3日の夜10時にロビーで待ち合わせて」
「そうですか……このビルは、私の自信作でしてね!若いカップルがバースデーを迎えるには、これ以上のところはありませんよ!」
蘭の話に、森谷が嬉しそうに微笑んで言葉を返す。
「本当ですか?実は今月は私達2人とも赤がラッキーカラーで、プレゼントも赤い洋服に……」
「…………。」
(やっべ……目茶苦茶盛り上がってるじゃねーか!どうすりゃいいんだよ…)
コナンは、楽しそうな2人の会話に困ったように視線を上に向けてため息をついた。