「時計じかけの摩天楼」編
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「いただきまーす!」
蘭は1つのクッキーを手に取り、パクリと口に運ぶ。
「いかがですか?お味の方は……」
「美味しいです!このクッキー!」
森谷の問いに、蘭はパッと笑顔になって答える。
「おお、それは良かった!これで昨夜から、手間をかけて作った甲斐がありましたよ!!」
そんな蘭の返答に、森谷は嬉しそうな笑顔を見せた。
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「……あら、先生お料理なさるんですか?」
そんな蘭と森谷の会話を聞いていた招待客の1人が、森谷に声をかける。
「ええ…こう見えても独身ですからな。ここに出ているもの全て、スコーンもサンドイッチもクッキーも…みんな私の手作りです」
「まぁ…凄い!」
「こんなに美味しい料理をお作りになれるなんて……尊敬しちゃうなぁ!」
森谷の話を聞いた招待客は、自然と森谷の周りに集まって来る。
「はは…何でも自分でやらないと気がすまないタチなんですよ…」
森谷はそんな招待客達の言葉に謙遜したように小さく首を振るが、その言葉に招待客の1人が納得したように頷いて口を開く。
「なるほど。その精神が、いくつもの美しい建築を生み出すんですね!」
「……ふむ」
森谷はその言葉に何かを考えるように顎に手をあてた後に、改まって口を開く。
「私は美しくなければ建築とは認めません!今の建築家の多くは、美意識がかけています!」
今までの穏やかな口調とは一転して、森谷は突然熱の篭った熱い口調で語り出す。
「…………。」
「…………。」
招待客達や蘭達は、そんな森谷の変化を驚いたように森谷を見つめる。
「建築家は…建築をする以上は、自分の作品に自信を持たなければいけないのです!!」
「…………。」
(すげぇこだわりだな……)
そう宣言する森谷に、コナンは僅かに目を見開く。
「………ふ、すいません。つい興奮してしまいました」
そんな中、森谷は小さく息をつくと穏やかな口調に戻り小さく苦笑しながら辺りを見渡す。
「皆さん…すいません。さぁ……どうぞ、引き続きおくつろぎください」
森谷が周りの招待客達にそう声をかけると、招待客達も自然にそれぞれグループに別れて再び優雅なティータイムが始まる。
「コナン君…これ、美味しいわよ!食べた?」
「ありがとう、蘭姉ちゃん!」
森谷の変化を驚きながら見つめていた蘭とコナンも、周りの招待客達と同様に自然とティータイムに戻る。
「蘭さん」
テーブルに並んだお菓子を楽しそうに食べている蘭とコナンの後ろから、森谷が近付いて来て声をかけてくる。
「はい?」
「先程は…つい熱く語ってしまい、すみませんでした…」
森谷は軽く頭を下げてもう1度謝罪したあとに、言葉を続ける。
「蘭さんには……先程、この庭を褒めていただいて嬉しかったので。もし、よろしければ特別に私のギャラリーにご案内しようと思うんですが…いかがですか?」
「わぁ!良いんですか?ありがとうございます。ぜひ!」
森谷の申し出に、蘭はパッと笑顔になり嬉しそうに頷く。
「では……今からご案内します。良かったら、コナン君も一緒にどうかな?」
「わーい!」
森谷は蘭の足元にいるコナンにも笑顔で声をかけるため、コナンは子供らしく返事をして見せる。
「では、こちらへ…」
森谷に誘われた蘭とコナンは、森谷の後に続いて屋敷の中に入って行った。