「時計じかけの摩天楼」編
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---森谷邸
4月29日(火曜日)
「うわぁ…凄い!!」
招待状の時刻に合わせて森谷邸を訪れた小五郎・蘭・コナンの3人。大きな門をくぐって中に進んだ蘭は、目の前に広がる美しい邸宅に思わず声をあげた。
card.518
「まさにイギリス17世紀、スチュアート朝時代の建物だな!!」
「えー?お父さんって建築に詳しいんだ?」
「ま……昔は、歩く図書館と言われたもんだ」
「!?」
(ええ…?)
コナンは、いつもの小五郎らしからぬ発言に驚いたように目を見開く。
「それより、ほら左右をよく見てみろ!」
そんなコナンを尻目に、小五郎が蘭に声をかける。
「え、左右…?」
蘭は小五郎の言葉に不思議そうに首を傾げた後に、キョロキョロと左右を見渡した後、何かに気付いたようにパッと笑顔になる。
「わぁ~っ!凄い…真ん中に立ってみると、右も左も同じだよ!庭も建物も全部!!」
蘭は建物も庭も全ての造りが左右対象に出来ている事に気付いて、楽しそうに周りを見渡す。
「ああ、こういうのを左右対象…シンメトリーと言うんだ」
小五郎は、再び得意気に解説を始める。
「…………。」
(へぇ……おっちゃんも、意外といろいろ知ってるんだな)
コナンは、そんな小五郎に内心感心しながらも小五郎の説明に黙って耳を傾ける。
「森谷教授は、高校までイギリスで暮らしていてな。そのせいか、建築に心酔し……特に、……特にだな……その…」
「………ん?」
スラスラと話していた小五郎の口調が、突然歯切れが悪いものに変わる。不審に思ったコナンがチラリと小五郎に視線を向けると、小五郎は蘭に見えないようにポケットの中から小さなメモ帳をそっと取り出して、チラチラと盗み見ている。
「…………。」
(ははっ……カンニングペーパーかよ)
「特にだな……えー、古典建築のシンメトリー様式へのこだわりは、並大抵じゃないんだ!」
小五郎がメモ帳を盗み見ながら解説している姿に、コナンは呆れたように肩を落とす。しかし蘭は小五郎のメモ帳には気付かずに、感心したように話を聞いている。
「……何しろ、名前の森谷帝二だが…元々の本名の森谷貞二を左右対象の"帝二″に変えたぐらいだからな!」
「………。」
(へぇ、それは知らなかったな。しかし……そこまで来ると、ほとんど病気だな)
コナンも、自分の知らなかったな情報に小さく目を見開く。
「そうなんだ……でも、こんな素晴らしい庭を見たのは初めてよ!」
蘭は小五郎の説明に感心したように小さく頷いた後に、周りに広がる庭を見渡して嬉しそうに声をあげる。
「それはそれは、お褒めにあずかって恐縮です……」
「………あ!」
そんな蘭の後ろに、スッと近付いて来て声をかけてくる1人の男性。
「初めまして。私が、森谷帝二です」
その男性こそ、話題の中心であった建築家の森谷帝二だった。