「時計じかけの摩天楼」編
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---ガヤガヤ…
『皆様いらっしゃいませ……本日は当米花シティビルにお越ししただきありがとうございます。本日は連休前の特別企画……』
「連休前だからかしら。今日は凄い人ね」
デパート内は、連休前のためかいつも以上に多くの人で溢れており、名前は辺りを見渡しながらポツリと呟く。
「ああ……ほら、よそ見してっと危ねーぞ」
快斗はそんな名前の手をサラリと握ると、人込みの間を名前を庇うように進んで行った。
card.516
---ガサガサ…
「……随分いろいろ買ったわね」
名前は、快斗が持つ2つのビニール袋を見ながら小さく笑う。
「ああ…あっちこちの店連れ回して悪かったな、疲れただろ?」
「ううん。普段あんまり行かない店だったから、いろいろ見れて楽しかったわ」
名前は、今日行ったアウトドア関連や工具店などを思い出しながら首を横に振る。そして、チラリと快斗の持つビニール袋を見て言葉を続ける。
「……それにしても、あんまり統一性のない買い物だったけど…それ何に使うの?」
快斗が買った物は、ライターやナイフ、ピアノ線、木工用ボンドの工具関係かと思えば、黒色のコートや女物の帽子に眼鏡など様々な物だった。
「んー?まぁ、ほとんどがマジックに使うものかな……仕事用も含めて…な?」
「ふふ……お仕事用ね。青子が可哀相だから、中森警部の休暇中は…そのお仕事やめてあげてね?」
わざとらしく袋を翳してニヤニヤと笑って答える快斗に、名前は小さく笑いながら言葉を返す。
「…………。」
そんな名前の言葉を受けて、快斗は何かを考えるように顎に手をあてながら名前をしばらく見つめる。そして、ふとある事を思いついてニヤリと笑うと、スッと名前の耳元に顔を寄せる。
「そうですね。友人想いの可憐な名前嬢の頼みとあれば、しばらく私は羽を休ませていただきましょう」
そして、ふわりと吐息で名前の髪を揺らしながらわざと甘い声を出して告げる。
「ーっ!ちょっ……私の耳元で、キッド口調で喋るの禁止!」
名前は顔に集まった熱を誤魔化すように、わざと肘に力を込めて快斗の身体を押し返す。
「クックック…何で禁止なのかなー?名前ちゃん?」
「…………。」
「ははっ!オメー、意外とキッドの口調に弱いよな」
名前が照れているのを分かっている癖に、ニヤニヤと笑いながら名前を見る快斗。まだ僅かに頬に赤みの残る名前は、ふいっと顔を背ける。
「んー、名前ちゃん?何か顔赤くねーか?」
「そんな事ないわよ!」
「えー、ほらほら!こっち向いてみろよ!」
「快斗……」
名前は小さくため息をついた後に、僅かに低い声で快斗の名を呼ぶ。
「何ですか?名前嬢…」
しかし、快斗はそんな名前の変化に気付かず楽しそうに笑いながら、名前をからかい続ける。
「そんな事ばかり言ってると、正体バラしちゃうわよ」
そんな快斗に向かって、名前は更に声を低くして厳しく告げる。
「……ごめんなさい」
(さすがにやりすぎだか…名前ちゃん、照れ隠しが本気で怖ぇんだよな)
快斗はそんな名前の言葉にビクリと肩を震わせて、即座に謝る。
そんな風に軽口を叩きながらも、買い物袋を抱えた名前と快斗は楽しそうに人混みの間を進んで行った。