「時計じかけの摩天楼」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「へぇ……それで結局、家政婦さんが犯人だったの」
---バサバサ…
「ああ……何でも、黒川大造が酒に酔って手術した患者の奥さんだったらしいぜ」
コナンは、無造作に机に封筒や葉書の束を広げながら答える。
「それで復讐のために黒川の家に家政婦として?」
「ああ…髪型を変えただけで、黒川の家族は誰も気付かなかったって言ってたな」
「そう……自分のミスで患者が1人亡くなってるのにね」
名前は小さくため息をついた後に、チラリとコナンの横顔を見て言葉を続ける。
「それにしても……新一が行く場所が悪いのか、新一自身が悪いのか…あなたが行く場所は本当に事件ばかりね」
コナン達が黒川邸で事件に遭遇した翌日に阿笠の家に訪れた名前は、同じく阿笠の家を訪れていたコナンから前日の事件の内容を聞いて、小さく苦笑した。
card.512
「うるせー、……それよりオメーは何しに来たんだよ?」
コナンは名前の言葉に眉を寄せながらも、なぜか阿笠邸で珈琲を飲みながら雑誌を眺めている名前に尋ねる。
「ああ…私は、哀に用があって来たんだけど……」
「すまんのぉ。哀君は実験の材料を仕入れると言って、今朝早くから西多摩市のデパートに行ってるんじゃ」
少し離れた机で名前とコナンの会話を聞いていた阿笠が、そう声をかける。
「別に博士が謝る事じゃないわ。私が連絡もなしに来たのが悪いんだもの……」
「あいつが出掛けたりすんの珍しいからな……」
「ええ……いつも連絡しないで来てもだいたい会えるから、今日もそのつもりで来たんだけどね。ま、急ぎの用じゃないからまた出直すわ」
「……ふぅん?」
コナンは、名前の用事に興味がないのか…あえて聞かないようにしているのか、軽く相槌を返すとそれ以上言葉を続けずに手元の作業を続ける。
「…………。」
(新一の誕生日プレゼント…哀と博士相談しに来たんだけど、まさか新一も来てるなんてね。今日は諦めて帰ろうかしら)
名前は心の中で小さくため息をつくが、ふと隣に座るコナンが黙々と行っている作業が目に入り、不思議そうに口を開く。
「ところで、新一はさっきから何してるの?」
---バサバサ…
「んー?家に届いた郵便物を整理してんだよ…」
「へぇ……」
名前は軽く身を乗り出して、机に広げられた郵便物を覗く込む。
「……"工藤優作様″……"Mr.ユーサク・クドウ″………優作さん宛てばかりじゃない」
「ああ……まぁ、ほとんどがファンレターだろうぜ」
「先月発売された"闇の男爵″シリーズの最新作も大ベストセラーだそうじゃもんなぁ…」
「優作さん、相変わらず凄いわね」
(そういえば最新作……TVで特集になってたものね)
阿笠の言葉に名前は納得したように言葉を返しながら、ふと手紙の束の中から気になる物をみつけて手を伸ばす。
「………ねぇ、新一」
「んー?」
「あなた宛ての手紙も来てるわよ」
名前は手紙の束の中から取り出した一通の封筒を、コナンに向けて差し出す。
「………珍しいな」
新一がコナンとなってからしばらくたった現在は、工藤宅に届く郵便物もほとんどは優作か有希子宛てのものになっていた。コナンは、首を傾げながら手紙を受け取る。
「………本当に俺宛てだな」
そして、"To.工藤新一様″と書かれた封筒を裏返す。
「……"森谷帝二″?」
「森谷って、あの森谷帝二さんよね?新一に何の用事かしら?」
名前とコナンは、封筒に書かれた差出人の名前に首を傾げて顔を見合わせた。