「時計じかけの摩天楼」編
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--黒川邸
閑静な住宅街。既に日も暮れ始め人通りが少なくなった街の一角には、不釣り合いな赤い光が揺らめいている。住宅街の中で、一際大きな屋敷の敷地内には警察や鑑識の人間が慌ただしく出入りしていた。
「……黒川氏は、お酒を飲みながらワープロに向かっていた所を後方から何者かに殴られ…殺害されたということか。凶器は、そばに落ちているブロンズ像に間違いなかろう…」
その屋敷の一室では、小五郎やコナン、蘭といういつもの3人と共に、小五郎の連絡で駆け付けた目暮や高木達が、真剣な表情で男性の死体を囲んでいる。
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「しかし、分からないのはこれですね。ダイイングメッセージのようですが……"j・U・N″って何の事でしょうか?」
高木は、被害者のパソコンに残されたアルファベット3文字を見て、不思議そうに首を傾げる。
「…………。」
目暮達が現場の確認をしている様子を、黒川氏が殺害された当時屋敷にいた黒川氏の関係者3人は、不安気に見つめている。
「フッフッフ…」
高木の横からパソコンを見つめていた小五郎が、ふいに笑みを浮かべて口を開く。
「それは…ズバリ犯人を指しているんですよ!!」
「何っ…!?」
「お父さん、犯人が分かったの?」
小五郎の言葉に、目暮や蘭は目を丸くして小五郎を見つめる。
「ええ……しかも、犯人はこの中にいます」
「!?」
「何っ!?」
部屋の隅で黙って捜査の行方を見つめていた3人は、小五郎の言葉に小さく息をのむ。
「…………。」
(おっ…ここまでは珍しく順調だな)
コナンは自信満々な様子で話始めた小五郎の推理を黙って聞きながら、成り行きを見守る。
「……奥さんの黒川三奈さん、長男の黒川大祐さん……そして、家政婦の中沢真那美さん。この3人の中にね!」
小五郎は、3人を見渡しながら言葉を続ける。
「……黒川大造氏を殺害した犯人は………あなただ!!」
そして、小五郎は勢いよく1人の人物を指差す。
「えっ!?」
小五郎に指をさされた被害者の妻である黒川三奈は、驚いたように声をあげる。
「お……奥さんが?」
「……黒川氏が残した"j・U・N″の3文字,これは英語の6月……JUNEを略した言葉です」
「…………。」
(おいおい……)
真剣な口調でダイイングメッセージについて語る小五郎だったが、その足元にいるコナンは呆れたように小さくため息をつく。
「………この6月は水の無い月"水無月″とも言います。つまり"三奈″さんです!!しかもあなたは……」
「……ちょっと待ちなさいよ!!6月生まれだからどうだって言うの!?何が水無月だから三奈よっ!」
推理の佳境に入ろうとした小五郎だったが、それを容疑をかけられた三奈が大声で遮る。
「あんたは…そんな駄洒落で私を犯人にするつもりなのっ!?」
「い……いや、奥さん。これは理論的推理というヤツで……」
「だいたい毛利君。死ぬ間際の人間が、そんな回りくどい事をするかね?ワシだったら、ストレートに犯人の名前を打つぞ」
三奈の迫力に小五郎はわずかに後ずさりながら反論するが、その横で目暮が半ば呆れたように自分の意見を述べる。
「そ……そんな、警部まで…」
「…………。」
(ハハハ……ま、おっちゃんの推理だとここまでか)
コナンは小さくため息をつきながら、自分の推理を目暮からも否定され困り果てている小五郎に向けて、いつものように時計型麻酔銃を構えた。