「時計じかけの摩天楼」編
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「名前ちゃん……毎年、名探偵にプレゼントあげてんの?」
「……ええ、別に絶対って決めてるわけじゃないけど。簡単な物だけど、割と毎年あげてたかな。私と違って、蘭は毎年何をあげるか熱心に考えてるけどね」
名前は、快斗の問いに首を傾げながら答える。
「……ふーん」
(蘭ちゃんは……まぁ良いとして、名前ちゃんまで毎年って。いつも思うけど、こいつら幼なじみはどんだけ仲良いんだよ)
快斗は首を傾げて当たり前のように話す名前の様子に、小さくため息をついた。
card.510
「名前ちゃんは、いままで名探偵には何あげてたわけ?」
「えーと、だいたい新作の推理小説とかが多かったかな。ちょうど良い小説がない時とかは、さっきも言ったけど…タオルとか文房具とか消耗品系が多かったかしら?」
(何だか、やけにこの話題突っ掛かってくるわね)
名前は快斗の様子を不思議に思いながらも、過去の新一の誕生日を思い返して答える。
「……なるほどね」
(とりあえず……手作りケーキとかじゃなくて良かった)
快斗は、名前の口から出た品々があまり色気のない物だった事に内心安堵する。
「だいたい蘭が毎年プレゼントだけじゃなくて、その日一緒に出掛けたりしてたからね。私は、そのオマケみたいなものよ」
快斗との会話で今までの誕生日の思い出を思い出した名前は、懐かしそうにそう言いながら小さく苦笑する。
「……俺にはくれんの?」
「………え?」
しかし、名前の会話の流れを無視して、快斗がポツリと告げた質問に、名前は思わず不思議そうに聞き返す。
「だーから、俺の誕生日!!っていうか、名前ちゃん…そもそも俺の誕生日知ってる?」
(名前ちゃん……普段から新一、新一ってあいつの事ばっかりなのに!!これで俺の誕生日知らなかったら、俺泣いちゃう…)
快斗は、本人達は無自覚だが普段から特別仲の良い名前と新一の関係を思い浮かべて眉を寄せる。
「え……6月21日でしょ?」
「あ…れ?名前ちゃん……知ってたんだ」
そんな快斗の思いをよそに、きょとんとしながら当たり前のように答える名前。快斗は、どこか肩透かしを食らったような気分になる。
「ふふ……知ってるわよ。自分の恋人の誕生日だし、当然でしょ?」
名前は、ポカンとしている快斗を見て可笑しそうに笑いながら、飲み終えたマグカップを持って立ち上がる。
「…………。」
「もう珈琲いらない?」
「あ……ああ」
「じゃあ、片付けちゃうわよ」
名前は、そう言って2人分のマグカップを持つとキッチンに消えていく。
「…………。」
--自分の恋人の誕生日だし、当たり前でしょ?--
(……なんか、意地になった俺が馬鹿みてーだな)
快斗は先程の名前の言葉を思い返して、僅かに緩む口元を押さえながら小さく息をついた。