｢名前…ちょっと来いよ｣

館に戻る途中にコナンから声をかけられ名前は、コナンに促されて他の探偵達から離れて部屋の隅に足を進める。何か他の人に聞かれたくない話があるらしいコナンのために、名前はコナンに視線を合わせようとしゃがみこんだ。



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｢お前…犯人分かってるんだろ？｣

コナンは周りに聞こえないように、ヒソヒソと声をかけてくる。

｢ええ、さっき新一が出したコインでようやくね。それにしても、あの人が犯人だなんて何だか信じられないけど｣

｢さっき他の奴らとも話したんだけど………｣

コナンはさらに名前の耳元に顔を寄せると、ゴニョゴニョと他の探偵達といつの間にか考えたらしい作戦を告げる。

｢えー？それで本当に通用するかしら？｣

名前はコナンの告げた作戦に、呆れたようにため息をつきながら首を傾げる。

｢ったく、仕方ねーだろ？この館からの脱出方法も聞かなくちゃならねーし、普通に推理するだけじゃ弱いんだよ！｣

｢…それで？その悪趣味な作戦に、蘭とメイドさんも付き合わせるの？｣

名前はチラリとメイドと何かを話している蘭に目を向ける。

｢いや。あの2人は説明しても、犯人を知ったら動揺しそうだから違う方法を考えてある｣

コナンがいつもの自信たっぷりの笑みを浮かべるため、名前は肩をすくめる。相変わらず事件となると頼りになるのは、身体が小さくなっても変わらない。





｢おーい！戻ったぞ！｣


その時、橋を確認し終えたのか玄関から小五郎の声が聞こえる。

｢…おっちゃん達も戻ってきたし、もう今はこれしかねーんだ。頼んだぞ｣

コナンはそう言うと、名前の返事も待たずにスタスタと玄関に向かって行ってしまう。

(……もうしょうがないわね。確かにあの人があえて同乗したということは、何かしら仕掛けてくるのだろうし…やるしかないか)

名前は小さくため息をついた後にゆっくりと立ち上がると、コナンの後を追って玄関へと向かって行った。