「探偵甲子園」編
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船は緩やかな波音をたてて、少しずつ港に近付いていく。
「おーい、お前ら!もう着くぞ!降りる準備しろよ!」
小五郎はチラリと外を確認して、楽しそうに話している名前達に声をかけた。
card.508
「…………。」
(快斗、甲板にいるのかしら?)
名前は鞄を持って立ち上がると、姿の見えない快斗を探して甲板に向かって足を進める。
「………名前さん」
「あ、白馬君」
名前が辺りを見渡しながら甲板に出ると、ふいに後ろから声をかけられる。声がした方にくるりと振り返ると、そこにはボストンバッグを持った白馬の姿。
「白馬君、今回はありがとうね。TVの企画のつもりで来たら、予想外にいろいろあったけど……久しぶりに会えて嬉しかったわ」
名前は自分の方に向かって歩いて来る白馬に向き合うと、改めて声をかける。
「ええ。結局、本当の事件が起きてしまい胸が痛みますが…全国の高校生探偵にも会えましたし。僕も、英国から来たかいがありましたよ」
白馬はニコリと微笑みながら、名前にそう言葉を返す。
「白馬君は、すぐにまた英国に帰るの?」
「ええ。この後1度自宅に戻りますけど……今日の便で帰る予定ですよ」
「そうなの…あんな事件があって、ロッジでは結局休めなかったのに。忙しくて大変ね」
名前は海風に靡く髪を耳にかけながら、小さく苦笑する。
「はは……まぁ、機内で眠りながら帰りますよ」
白馬は軽く肩をすくめながらそう返すと、チラリと港に目を向ける。
「ようやく到着ですね」
「ええ…本当に。無事に帰れて良かったわ」
名前と白馬は、ゆっくりと近付いてくる港を見ながら微笑み合う。
「そういえば、帰る前に名前さんにお伝えしようと思った事があるんです」
白馬はふと思い出したようにそう言うと、港から視線を名前に移す。
「…私に?」
(白馬君が何の話かしら…)
名前は、白馬の言葉に不思議そうに首を傾げる。
「実は僕………」
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「あ…快斗!」
船が港に到着しゾロゾロと蘭達が船から降りていく中、名前は甲板の方から歩いてくる快斗の姿を見つけて声をかける。
「甲板に行ってたの?」
「ああ。船内にいると、白馬の野郎がグチグチうるせーからな」
快斗は小さく頭を掻いて、ため息混じりに言葉を返しながら名前と並んで船を降りる。
「2人で何か話してたもんね?」
「ああ……まぁ、ほとんどが"怪盗キッド″の話だったんだけどよ」
快斗は名前の耳元に顔を寄せると、小さな声で白馬との会話の内容を伝える。しかし、名前の事が話題になった部分はあえて口には出さない。
「ふふ、そうなんだ。キッドは、本当に白馬君に好かれてるみたいで大変ね」
(そういえば……ロッジで、私にもキッドの話してたものね…白馬君)
快斗から白馬との会話の内容を聞いた名前は、苦笑しながらロッジでの白馬との会話を思い返す。
「ああ。ったく、あいつが英国に行ってようやく学校で会わなくなったのに。まさか、こんな所で会うとは……」
「……………。」
ブツブツと苦々し気に呟く快斗を、名前は横目に見つめながら小さく微笑む。
(この感じだと、さっきの白馬君の話は今の快斗にはしない方が良さそうね)
「あー…今日、疲れたから名前ちゃん家泊まって良い?」
そんな名前の思惑を知らずに、快斗はニヤニヤと笑って名前に尋ねる。
「別に良いけど……そういえば、快斗が時々私の部屋に泊まるって話したら、和葉ちゃんと蘭がやけに食いついてたわ」
「はは……まぁ、そりゃそうだろーな」
(ソッチ方面には…とことん鈍い名前ちゃんは、蘭ちゃん達が食いついたポイントが分かってねーみたいだけど)
快斗は不思議そうに首を傾げている名前を見て、喉を鳴らすように小さく笑いをこぼす。
「何で笑ってるの?」
「まぁまぁ!良いからさ、さっさと帰ろうぜ!!」
快斗は不思議そうな顔をしている名前の手を取ると、話を遮るようにしてスタスタと歩きだす。
「ええ…」
(結局、何だかよく分からなかったわね)
名前は心の中に小さな疑問を残しながらも、快斗の手を握り返して後に続く。
(それにしても、もう何回か名前ちゃんの部屋泊まってるけど……蘭ちゃん達が想像してるような展開が現実になるのはいつになるんだろーな)
快斗は、そんな名前に笑顔で声をかけながら心の中で小さくため息をついた。
探偵甲子園編fin.