「探偵甲子園」編
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「なるほど。そうやって高校生探偵達を集めたこのロッジで、まずは槌尾さんを眠らせて縛り……ラベンダー屋敷の事件の真相となっているトリックと同じ方法で部屋を密室にして、あぶり出したというわけですか…」
名前とコナンが小声で話している中、七槻から高校生探偵を集めたいきさつを聞いた白馬が、納得したように七槻に尋ねる。
「そうよ……部屋の中にトリックで必要な工具箱を置き、ラベンダーの香でいっぱいにしておけば……問題の高校生探偵なら、あの事件を思い出してすぐに見破るはずだと思って。あの屋敷は、本当にラベンダーで埋め尽くされていたから。……そうよね?あの屋敷に執事として仕えていた…甲谷廉三さん?」
七槻は白馬の問いに頷いて言葉を返しながら、チラリと甲谷を見て冷たく声をかけた。
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「……はい、お嬢様は、ラベンダーがとてもお好きでしたので」
「え……甲谷さんって、ラベンダー屋敷殺人事件のお屋敷にお仕えしてたんですか?」
七槻の言葉に肯定の言葉を返す甲谷に、名前は目を丸くする。
「ええ。お嬢様がお産まれになる前から……あの事件が起こるまでお仕えしておりました」
「……それで、何でこの人も呼んだんだ?」
快斗は、甲谷にチラリと視線を向けながら七槻に問いかける。
「………そのお嬢様が自殺した理由を知ってて黙っていたのよ」
快斗の問いに、七槻は甲谷を睨み付けながら答える。
「自殺した理由?」
「ええ……あのお嬢様は、薬に溺れて毎日のように自殺未遂を繰り返していたのよ!」
「お……お嬢様の名誉のために、言うに言えなかったのでございます。メイドの疑いなんぞ、すぐに晴れると思っておりましたので。まさか、あんな事になるとは………本当に、本当に申し訳ありませんでした」
甲谷は七槻の話を聞いて、眉を寄せながらその時の事情を説明して頭を下げる。
「おい、ちょー待て!!あんたが恨んでるこの2人も呼んだっちゅう事は…」
今まで黙っていた平次は、ハッと息を飲んで七槻に声をかける。
「ええ……そうよ」
七槻は平次の言いたい事が分かったのか、平次の言葉の途中で頷きながら口を開く。
「助けの船なんて来ないわよ。ここに君達を運んだ船の船長には、その事を誰かに話すと残りのお金は払わない約束になってるの。死んでも逃がしたくなかったから……問題の高校生探偵が、こっちの計画に感づいて尻尾を出さない場合も考えれたからね」
「……………。」
七槻の言葉に、槌尾と甲谷は顔を青くして目を見合わせる。
「まあ、実際のところ時津本人は私に殺される直前まで…ラベンダー屋敷の事件の間違った推理を自慢気に話す…取るに足らない男だったけどね」
「……じゃ、じゃあ……無線機を壊したのは」
「ええ……もちろん私よ。死ねば諸共ってわけ」
七槻の話を聞いた槌尾が戸惑いがちに七槻に尋ねると、七槻は平然とそう告げた。
「……助けが来ないんじゃ困ったわね」
今までの会話を聞いていた名前は、口元に手をあてながら呟く。しかしその口調は、言葉とは裏腹にいつもの名前と同じような穏やかものである。
「ああ……ここ圏外だから、助け呼ぶにも呼べねーしな」
快斗も、頭をガシガシと掻きながらため息をつく。
「………快斗、寺井さんとかに今日の事伝えてないの?」
「ジィちゃんに?いや、そんな逐一ジィちゃんと連絡とってるわけじゃねーからな」
(まぁ……キッドの仕事関連なら、細かい事まで伝えるけど)
快斗は名前の問いに、小さく首を傾げながら答える。
「そっか、それもそうよね…」
(何となく快斗と寺井さんは、新一と博士みたいな関係性に見えるから……今日の事も話してるかもって思ったけど。そういえば、快斗が私と一緒にここに来る事が決まったのも急だったものね。さすがに伝えてないか……)
名前は快斗の言葉に納得したように頷くと、何とか帰る方法がないか考えを巡らす。
「……………。」
(あー、名前ちゃんがこんな無人島に取り残される事になるくらいなら……名前ちゃんのいう通り今日の事ジィちゃんに言っとけば良かったなぁ……)
快斗は、圏外と表示された携帯を見ながら小さくため息をつく。
(もし、ここから無事に戻れたら…名前ちゃん関係の時は、こいつに何かあっても良いように、ジィちゃんにも言っとくようにしねーとな)
快斗はチラリと名前の横顔を見た後に、心の中でそんな決意をする。そして、何か帰る方法はないかと考えを巡らせ始めた。