「探偵甲子園」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そう……あの男は、四国を旅行中にふらりとその屋敷に立ち寄って、密室殺人を解き明かし名を名乗らずに去って行った」
七槻は眉を寄せて、ポツポツと当時の様子を話始める。
「おかげで…その屋敷でメイドをしていた私の親友が、事件当時に亡くなったお嬢様と二人きりだったという理由で疑われ……警察の尋問に耐えられなくなり自殺したってわけ」
card.500
「しかし、それは逆恨みなのでは?」
七槻の話を聞いた白馬は、困ったように眉を寄せて声をかける。
「ええ…そうね。もしあの男の推理が真実だったとしたらね…」
「え?」
「私もその屋敷に行ったのよ。……探偵として、あの男が来る1ヶ月前に。"もしかしたら外部犯の仕業かもしれないから調べてくれ″って……その親友に頼まれて。でも何も見つからなかった。あれは部屋の鍵を閉めきって、首を吊ったお嬢様の自殺としか思えなかったわ」
「……ほんなら何でや?」
(時津が気付いた密室トリックやったら、こいつかて気付きそうやけど?親友から依頼されたっちゅうんなら、捜査にも手抜かないやろし…)
七槻の話を聞いて、平次は不思議そうに首を傾げる。
「1ヶ月後に来たあの男が見つけたのよ。お嬢様の部屋の窓の外に錯乱した頭が切られたネジや、その窓が木工用ボンドで軽く留められているだけだという事をね!」
「ま…まさか見逃したんですか?」
「見逃すもなにも!それは、私が帰った後で清掃業者を装ってやって来た……この槌男って男が細工した痕跡だったんだから!!」
七槻は、白馬の問いに小さく首を振ると、チラリと部屋の隅に立つ槌尾を見ながらため息混じりにそう次げる。
「多分、窓を簡単に外れるようにして…後で空き巣にでも入ろうとしたんだろうけどね」
「なるほどな。せやからあんた、ラベンダー屋敷の話が出た途端に…血相変えて島から脱出しようとしたんやな」
七槻の話を聞いた平次は、ジロリと槌尾に目を向ける。
「……………。」
槌尾は七槻と平次の言葉を聞いて、みるみる青ざめていく。
「そう……半年後、半年もたってから仕掛けられたその細工に時津は食いつき、自らの推理力を誇示するようにこれは殺人事件だと警察に吹き込んだのよ!!錯乱したネジの腐食具合をちゃんと調べれば分かったはずなのに……さすがに時津も後でその違和感に気付いて、自分の名前を公表しないようにしてたみたいだけどね」
「なるほど。そのせいで、それがどこの高校生探偵か分からなかったんですね」
「ええ…」
名前の言葉に、七槻は小さく頷きながら言葉を続ける。
「唯一の手掛かりは、親友が死ぬ前に電話で私に遺した……"変な喋り方の高校生探偵が私を疑ってる!助けて!!″の一言」
「なるほど、だから僕達を呼んだんですね」
白馬は七槻の話を聞いて納得したように頷きながら、チラリと平次に視線を向けながら言葉を続ける。
「海外留学が長く、日本語が疎かになっているかもしれない僕。関西弁丸出しの彼。……そして、自分の事を"小生″と言うあの時津君を」
「ええ。なおかつ、報道規制を頼めて捜査に口を出せるくらい、警察に顔が利く名の通った高校生探偵でね」
「名前ちゃんも…その候補に入ってたのか?」
(警察には、割と顔が利くってところは条件に入ってるけど……)
今まで黙って話を聞いていた快斗は、隣に立つ名前を横目に見ながら不思議そうに七槻に尋ねる。
「ああ……名前さんは、1度関西に引っ越してるって聞いてたし。今ご両親は海外在住って聞いてたから。もしかしたら、その影響で言葉が……って思ったのよ」
「ええ……確かにそうですけど、七槻さんよく知ってますね」
(転校してた事ならまだしも、両親の事まで知ってるなんて……)
名前は、七槻の言葉に目を丸くした。