「探偵甲子園」編
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「どや?これが決定的な証拠っちゅうやっちゃ!!」
平次は、甲谷にネジを突き付けながら詰め寄る。
---パシッ!
しかし甲谷まで後1歩というところで、平次はふいに甲谷の隣に立つ七槻の腕を掴む。
「………え?」
突然腕を捕まれた七槻は、目を丸くして平次を見つめる。
「やっぱりあんたやったんか…時津殺した犯人は!!」
そんな七槻に、平次は鋭い視線を向けてそう告げた。
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「な…何を急に?」
「時津がトリックの準備に1時間ぐらいかかる言うたんは、ボンドが乾く時間待ちや。ネジ外したり切ったりすんのを、なんぼ急いだかて…ボンドが乾くんは即効性でも30分以上かかる。ちゅう事は、時津はこの作業を30分もかけんと終わらせて、後は部屋の外のどこかで待つ算段やったんや!」
「…………。」
平次に腕を捕まれたままの七槻は、平次から視線を逸らさずに平次の言葉を聞いている。
「つまり、時津君がまだ部屋にいる間に殺害しに行けたのは…あなた方容疑者の3人の中で、すぐにトイレに立った越水さんだけ…という事になりますね」
そんな七槻の横に立つ白馬が、平次の言葉に続いてそう告げる。
「ああ、恐らくトイレに行くフリをして時津の部屋に行って…"自分も密室トリックが分かったから答え合わせしよやないか″とか言うて、部屋に入った。そしてスキを見て時津を金槌で撲殺した後に、時津のやりかけのトリックを完成させて密室にしたんや」
「なるほどな。その後、あの部屋の窓から飛び降りて玄関から入り、俺達が夕飯食ってたダイニングに知らない顔して戻ってきたってわけか……」
平次の推理を聞いた快斗は、納得したように小さく呟く。
「そういうこっちゃ!せやけど、ここまでの話は仮定の話で証拠がない」
平次は快斗の言葉に満足気に頷くと、再び七槻に視線を戻しながら言葉を続ける。
「せやから納屋で拾うた無線機のこのネジを使たんや。全部回収したと思ても、こないなふうに出されるとひょっとしたら拾い損ねたかもしれんと不安になってまうからな」
平次はそう言いながら、今まで甲谷に突き付けていたネジを逆さにして七槻に見せる。ハンカチに隠されていた部分には、しっかりネジの頭がついている。
「…………。」
(なるほどな……普通のネジの頭の部分をハンカチで隠して、カマかけたってわけか)
快斗は平次の持つ頭のついたネジを見ながら、半ば呆れたように小さくため息をつく。
(………って事は、さっきのあいつの行動の意味は…)
快斗は、平次の推理を聞いて1つ1つのピースが繋がるようにある答えが思い浮かぶ。そして、七槻の左手に視線を向ける。
「しかも、疑いの目が自分に向いてへんと思たら必ず隙が出来る!」
そんな中、平次はニヤリと笑いながら言葉を続ける。
「絶対、証拠の隠し場所の方を見る思てたけど…」
平次はそう言いながら、快斗が見つめている七槻の左手を持ち上げる。
「まさか……まだ肌身離さず持っとって、手探りで数を数えてるとは思わんかったわ!」
---ポロポロ…
------カン!カン!カン!
平次が持ち上げた七槻の左手からは、頭の切られた無数のネジが音を立ててこぼれ落ちた。