「黄昏の館」編
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「アーモンド臭がするわ、青酸カリを使ったみたいね」
探偵達が慣れた様子で次々と死体や大上の使っていた食器を確認していくが、犯行に使用された毒がどこに仕込まれていたのかが分からない。
card.49
「さぁ!賽は投げられた…自らの死をもってこの命懸けの知恵比べを華々しくスタートさせてくれた大上探偵のためにも、財宝探しに精を出してくれたまえ」
スピーカーからの言葉に怒りを表した茂木が、グッとマネキンの首につかみ掛かる。すると、ガシャンと音をたてて倒れたマネキンからは、スピーカーに繋がれたカセットテープが落ちる。
「……これタイマーにも繋がってるみたいだわ」
名前がハンカチで包みながらカセットテープを拾い上げると、それを横から小五郎は覗き込む。
「じゃあ、犯人は俺達の様子を見ながら喋っていたんじゃなくて、ただテープの声を流していただけって事か?」
「これで…2つ分かったね」
足元の声に振り返ると、名前の視線の先ではコナンが小学生とは思えない真剣な眼差しで周りを見渡しながら言葉を続ける。
「……犯人は最初から大上さんを狙っていたって事と、もしかしたら犯人はボク達の中にいるかもしれないって事が」
名前はコナンのその言葉を聞いて、くるりと探偵達の表情を確認する。さすがは探偵と言うべきか不安そうにしている蘭以外は、皆何を考えているのか表情が読めない。
(確かに…タイマーを使えば、私達と一緒に食事をする事も出来るわね。さっきのテープの内容からすると誰が死ぬかも、そのタイミングもわかっていたようだったけど)
名前はそれぞれの推理を口にする探偵達の意見に耳を傾けながらも、口を挟まずに状況を見守る。そんな中、蘭がどこか言いにくそうに口を開く。
「で…でも、皆さんが言ってる犯人って怪盗キッドなんでしょ?彼は人殺しなんかはしないって聞きましたけど…」
蘭の言葉に白馬が小さく頷いて賛同する。
「…ええ、僕が知る限りじゃ初めてのケースです」
「………。」
名前は白馬の言葉を聞いて眉を寄せる。
(怪盗キッド……本当に彼がこんな事件に関わってるの?)
「…キッドなわけないわ」
(怪盗キッドが何故…あんな事してるのかは知らない。怪盗をしている事に、どんな事情があるのかは分からないけど。彼が……私を助けてくれた彼が。あの"快斗"が、殺人なんかするわけない…)
名前の口から思わず零れた小さな呟き。この呟きをある人物に聞かれていることに、名前は気付いていなかった。