「探偵甲子園」編
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「針金に釘、ペンチにドライバー……」
「キリと、かね尺にプレイヤーに木工用ボンド……やっぱりや!金槌が入ってへんで!」
手袋をはめた白馬が開けた工具箱を囲みながら、平次達は工具箱の中身を確認している。
「やはり、凶器の金槌はこの工具箱から取り出された物のようですね」
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「まぁ、これくらいの金槌だったら…女でも年寄りでも人は殺せそうだな…」
快斗は小さくため息をつきながら、床に落ちている凶器と思われる金槌を見つめる。
「黒羽君にしては、珍しく的確な意見です。時間的にみてもそれは言えますね…」
「白馬…てめェ!!俺にしてはって…どういう意味だ、コラ!」
「あの3人が、我々の視界からいなくなったのが…」
白馬の言葉に顔を歪める快斗の言葉を、白馬は平然と無視したまま言葉を続ける。
「……トイレに立った越水さんが、19時26分32秒から19時39分15秒。自分の部屋に煙草を取りに戻った槌尾さんが、20時6分47秒から21時28分31秒。そしてこの部屋に時津君の様子を見に来た甲谷さんが、21時30分6秒から21時38分52秒。3人共、犯行は十分可能です」
「「…………。」」
(秒って……)
(ほんまに何やねん、こいつ)
「白馬君…"秒単位″って凄いわね。いつもあんなに細かくチェックしてるのかしら?」
「あーいうねっちこい野郎なんだよ、あいつは!!」
素直に感心したように白馬を見ている名前。それとは対照的に、つい先ほど白馬に無視された快斗は、その事を根に持っているのか忌ま忌まし気に吐き捨てている。
「……せやけど、甲谷さんはほとんどキッチンにおったし。ずっと俺らから隠れてて、もっと長い時間自由に動けたんとちゃうか?」
平次は秒単位で時間を告げる白馬に目を丸くしながらも、甲谷の犯行可能な時間について浮かんだ疑問を尋ねる。
「いや……キッチンの窓は全てはめ殺し。あのキッチンから外に出るには、僕達のいたダイニングを通らなければならないので……それはないですね」
白馬は、自分の手帳に書かれたロッジの見取り図をトントンとペンで指しながら言葉を続ける。
「……ちなみに、これが2階の見取り図。5部屋共、窓の方向が少々違っているだけでほぼ一緒のようですね」
「白馬君、仕事が早いわね」
名前は、平次の反対側から白馬の手帳を覗き込んで驚いたように目を丸くする。
「ええ、僕は名前さん達よりも半日前にここへ来てますからね」
「ねぇ…そういえば、何でここって電気が来てるの?」
「せやな…無人島やのに」
今まで黙って成り行きを見つめていたコナンの言葉に、平次も部屋の電気を見上げながら呟く。
「ああ……簡単な自家発電機が納屋にあるそうですよ」
「無線機が壊されたとかいう……納屋か?」
白馬の言葉に、快斗が槌尾の言葉を思い出して尋ねる。
「ええ…なんなら行ってみますか?無線機の様子も見てみたいですし……」
白馬はそう言いながら、ぱたんと手帳を閉じて立ち上がる。
「だったら、俺と名前ちゃんは1回部屋に戻るぜ?」
白馬や平次達が、納屋に向かおうとそれぞれ立ち上がったり外に出る準備を始める中、快斗が名前の横に立ってそう告げる。
「え…何で?」
しかし名前はそんな快斗の言葉に、不思議そうに首を傾げる。
「まだ雨が降ってるんだから、ちゃんと上着持ってから外行かねーと風邪ひくだろーが」
「え?ちょっとなら大丈夫だと思うけど……」
「…いいから、行くぞ!」
(こいつは、こんな薄着(制服)の癖に!自分の事になると本当に無頓着というか何と言うか……)
「え、ちょっと快斗……」
快斗は名前の言葉に小さくため息をつくと、名前の手をグイッと引いて戸惑う名前に構わずズンズン部屋から出ていく。
---パタン…
「何や……あいつら、ホンマに出て行ってしもたで」
「上着を取ってくるって言ってましたし、そんなに時間はかからないでしょうから……ここで待ってるしかないんじゃないですか?」
「……………。」
(上着を取りに行くってーのは正論だが、黒羽の野郎にやられると何か不愉快だな…)
名前と快斗を見送りながら、残された3人は呆れたように呟いた。