「探偵甲子園」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「全然ってねぇ……」
平次と白馬が言い合いをしていた頃、港には怒りに満ちた小五郎の声が響いていた。
「口ヒゲの男と高校生と子供を1人乗せてった船だよ!!全然知らないわけねーだろっ!?」
小五郎は、何とかして名前達の行き先を調べようと港に停泊する船の所有者達に声をかけて回っていたが、一向に手がかりが見つからない。
「…………。」
そんな小五郎に詰め寄られている漁師は、渋い顔をしてだんまりを決め込んでいる。
「困ったわね。名前達、大丈夫かな…」
そんな小五郎と漁師のやり取りを、蘭は心配そうに見守っていた。
card.488
「…………。」
「和葉ちゃん?」
蘭が隣に立つ和葉に視線を向けると、和葉は顎に手をあてて眉を寄せている。
「どうしたの?和葉ちゃん」
「……何やろ、やっぱり何か引っ掛かってんねん!」
和葉は不思議そうに小さく首を傾げながら、蘭に言葉を返す。
「え?」
「あの……あの、平次の最後の…」
和葉は独り言のように小さく呟きながら、港で別れた平次の姿を思い出す。
--おう!残したるわ!!服部平次ここに在りってのォ!!--
「!!」
「か、和葉ちゃん?」
何かを思いついたように小さく息をのんだ和葉を、蘭は不思議そうに見つめていた。
--
---
------
---ザーッ…
港とは違い、未だ雨が降り注ぐ無人島。七槻達をダイニングに送り戻ってきた白馬を含む、名前・コナン・平次・快斗の5人が時津の遺体を囲んでいた。
「まぁ、いっちゃん引っ掛かるゆうたら…」
「わざわざ机の上に死体を座らせている……このポーズですね」
時津の遺体を見ながら小さく首を傾げる平次の言葉に続いて、白馬も腕を組みながら呟く。
「これって、やっぱり何か意味があるのかしら」
「さぁな。ただ単に、この密室殺人を外から見えるようにアピールしたかっただけって事も考えられるが……」
「でも、わざわざアピールしなくても…いつまでも時津君が姿を見せなければ、誰かが部屋に確認に来るのは分かってるわよね?」
「ああ、そうだな」
白馬と平次の呟きを聞きながら、名前とコナンは小声で言葉を交わす。
「…………。」
(こうも全員が推理モードに入られちまうと……俺、何にもする事ねーな。名前ちゃんも、さっきから名探偵とコソコソ話してるし)
5人の中で一人だけ探偵ではない快斗は、暇そうに頭を掻きながらブラブラと室内をうろついている。その時、ふと部屋の隅に置かれているラベンダーと工具箱が目に入って、思いついたように呟く。
「そーいや、このラベンダーと工具箱やっぱり全員の部屋に置いてあるみてーだな」
「……そういえばそうね。それに、どの部屋にあるのも同じ形みたいだわ」
快斗の呟き聞いて、今までコナンと小声で言葉を交わしていた名前が、ラベンダーと工具箱に視線を向ける。
「外から眺めとっても埒赤んわ。工具箱開けるで…」
名前と快斗の言葉を聞いて、平次は懐からハンカチを取り出す。そして、ハンカチ越しに工具箱に触れようと手を伸ばす。
「待った!」
「……ん?」
そんな平次の前に、白馬がスッと手を伸ばし制止をかける。
「僕がやりましょう…」
「あ、さよけ…」
(こいつ、普段からこんなもん持ち歩いてんのかいな……)
平次を制止した白馬は、懐からするりと白い手袋を取り出して小さく微笑んだのだった。