「探偵甲子園」編
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「……え?」
「なに!?部屋にいてへんのやと?」
ロッジの外には相変わらず雨が降りしきるなか、平次の戸惑ったような声がダイニングに響く。
「は、はい。ノックをしても返事がこざいませんでしたので…」
「あら…変ね」
甲谷の言葉に、名前も不思議そうに首を傾げる。そんな中、甲谷が戸惑いがちに言葉を続ける。
「ですが、鍵が内側からかけられておりましたから。もしかしたら……」
card.479
「…なるほど?」
白馬はそんな甲谷の言葉を聞いて、クスリと笑う。
「恐らく、もう密室を完成させてどこかでほくそ笑んでいるんでしょう…」
「ふぅん。でもそうだとしたら、あいつの性格的に…あの自慢顔で俺達の前に現れそうじゃねーか?」
白馬の言葉に、快斗は意外そうに首を傾げる。
「…………。」
(確かにそうね……それに、白馬君の言うように密室を完成させて、どこかで隠れているんだとしても……2時間以上も黙ったまま隠れているかしら?)
「ほんなら…ホンマに部屋が密室になってるかどうか、窓の外から覗いて確かめてきてやるから待っといてくれや!」
白馬達の会話に疑問を浮かべる名前を尻目に、平次は白馬と快斗の言葉を聞くとそう言いながら立ち上がる。
--ガタン
「……じゃあ、僕も行こう」
しかし、1人で行くつもりだった平次を尻目に白馬も立ち上がる。
「申し訳ないが、君1人じゃ何かと心配なんでね……」
「ふんっ、勝手にせいや…」
白馬の言葉に、平次は小さくため息をつく。
「それじゃ、僕も一緒に行くよ!」
そんな白馬と平次に続いて、コナンも部屋から出ていく。
「……………。」
名前は、3人が部屋から出て行く背中を見つめながら小さく眉を寄せる。
「名前ちゃん、どうした?」
そんな名前の表情に気付いた快斗は、小声で名前に尋ねる。
「なんか……嫌な予感?っていうか、気になって……」
「気になるって……あの顔色悪ぃ探偵の事がか?」
「うーん………何がって言われると、ハッキリしないんだけどね。ちょっと嫌な予感がするだけ」
名前は、自分自身にも正体の分からない感情に苦笑しながら快斗に言葉を返すと、もう1度窓の外に目を向ける。
---ガタン
「………私も行こうかしら」
そして、しばらく窓の外に目を向けたまま黙り込んでいた名前は、突然立ち上がってそう呟く。
「え?」
そんな名前の言葉に、快斗は僅かに目を見開く。
「私も平次達を追いかけてちょっと見て来るわ。やっぱり何だか気になるし…」
「…………。」
(雨降ってるし、寒ぃから……こいつをあんまり外に出したくねぇんだけどなぁ…)
快斗は、名前の言葉に小さく頭を掻きながら口を開く。
「外……怖くねぇの?」
「え………怖く、ない…わけじゃないけど…」
「ったく。さっき言ったろ?俺の傍にいろって」
(……怖くても、気になってわざわざ見に行くあたりが…名前ちゃんも名探偵と同じ……"探偵″だよな。やっぱり…)
快斗は、名前の言葉にため息をつきながら立ち上がると、スッと自分が羽織っている上着に手をかける。
「………快斗?」
「オメーの怖がりは、俺が一緒じゃねーと克服出来ねぇからな。………ほら、行くなら一緒に行こうぜ」
快斗は、自分の上着を名前の肩にかけながら名前の手をとる。
「快斗、上着…」
「うちの学校の制服…ただでさえ薄いんだから、それ着てかねーと寒ぃぞ?」
「………ありがとう」
(快斗って、キッドじゃない時も十分紳士ね…)
名前は、当たり前のように上着を渡す快斗の行動に、僅かに頬を緩ませながら快斗に手を引かれて平次達の後を追った。