「探偵甲子園」編
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---ザーッ…
「……本降りになってきたな」
快斗は窓の外を覗き込んで、激しい音をたてて降り注ぐ雨を見ながらため息をつく。
槌尾が煙草を切らしたと出て行った後のダイニングでは、高校生探偵達がそれぞれ窓の外を眺めたり、椅子に座って考えを巡らせたりと思い思いに過ごしていた。
「本当だわ。雨のせいか外もだいぶ暗くなってきたわね…」
名前は快斗の横から、スッと窓を覗き込む。
名前と快斗は、平次やコナン達から少し離れた小さな窓から外を眺めている。
「……無人島だからな。余計に暗く感じるな」
「ええ…そうね」
(……何て言うか、昼間に比べて一気に不気味になったわね)
名前は、窓の外を見つめて憂鬱そうにため息をついた。
card.477
--ザーッ
「……………。」
(名前ちゃん、なんか浮かない顔してんな…)
快斗は、自分の隣で窓の外を見つめている名前をチラリと見る。
「…………。」
(……知らない奴らばっかりで、さすがに名前ちゃんも疲れたか?あー、いや待てよ?そういや、この天気にこの暗さだもんな…)
快斗は雨の音を聞きながらも、浮かない表情の名前の横顔を見つめたまま頭の中で考えを巡らせる。そして、ある1つの答えにたどり着いて僅かに口元が緩む。
「…何よ?」
そんな快斗の視線に気付いた名前は、窓の外から隣の快斗に視線を移して不思議そうに首を傾げる。
「んー?名前ちゃん、なんか元気ねーからさ。どうしたのかなーって思って」
「快斗……言葉と表情が一致してないわよ」
ニヤニヤした笑みを浮かべて言葉を返す快斗に、名前は苦笑しながらジト目を向ける。
「……えー?俺は、可愛い名前ちゃんを心配して言ってるのに」
「…あまり心配してる顔には見えないけど」
名前は、言葉とは裏腹に口元の緩んだ快斗に呆れたように言葉を返す。
「ははっ…悪ぃ、悪ぃ。"怖がる名前ちゃん″が、可愛いくって…つい、な?」
「あら…私、怖がってるつもりないんだけど…」
(そんなに表情に出してないつもりだったのに…)
名前は、日が暮れて雨が吹き付けるロッジに不気味さを感じていたが、それを表に出さないようにしていたつもりだった。そのため、快斗の言葉に驚いて小さく眉を寄せる。
「ハハハ…俺は名前ちゃんの事なら、何でもわかるんだよ。…ほら、」
そんな名前の気持ちを察したかのように、快斗は笑いながら平然とそう答えると、名前の腕を掴んでグッと名前を自分の方に引き寄せる。
「ちょ……快斗?」
突然の快斗の行動に、名前は戸惑ったように小さく声をあげるが、快斗はそんな名前の耳元に口を寄せる。
「……俺のそばにいれば、怖くねーだろ?」
「…そうね」
耳元で囁かれた快斗の優しい声に、名前は僅かに頬を染めながら小さく頷く。
「だったら、名前ちゃんは俺のそばから離れんなよ」
「…………う、うん」
快斗は名前が頷くと、満足気に笑いながら名前を自分の腕の中に引き入れるように、更に傍へと抱き寄せる。快斗に引き寄せられ、2人の距離が更に縮まったため、名前は軽く触れ合う身体から快斗の体温を感じてドクンと胸が高鳴る。
「さーて!これで、無事に名前ちゃんは怖がり克服だな?」
そんな名前を尻目に、快斗は楽しそうにそう尋ねる。
「……え?」
「だって、そうだろ?オメーは、これからずっと俺と一緒にいるんだから。俺と一緒なら怖くねーんだろ?」
「!」
名前は快斗が当然だというように告げたその言葉に、驚いたように目を丸くする。
「何、違ぇの?俺はそのつもりだけど」
「え……あ、ううん。…違わない…けど」
(ずっと一緒って……意味分かってるのかな、快斗は…)
名前は僅かに戸惑いながらも快斗に言葉を返すと、高鳴る鼓動を誤魔化すように窓の外へと視線を向けて小さく息をついた。