「黄昏の館」編
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「だ、誰が!いったい誰がこんな事を!?」
小五郎がマネキンを見つめて、呆然としたようにポツリと呟く。
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「あらあら…毛利さんともあろう方が、知らずに来たんですの?ちゃんと招待状に書いてあったじゃない」
「え?」
しかしそんな小五郎の言葉を聞いた槍田が、小さく笑いながら可笑しそうに口を開く。
「……"神が見捨てし仔の幻影″って」
「幻影ってーのは"ファントム"…神出鬼没で実態がねぇ幻ってこった」
「にんべんを添える"仔″という字は獣の子供…ほら、"仔犬″とか"仔馬″とかに使うでしょ?」
「"神が見捨てし仔″とは…新約聖書の中で神の祝福を受けられなかった"山羊″の事…つまり、これは"仔山羊"を示す文章だ」
招待状の事を言われても心当たりのない小五郎は、不思議そうに首を傾げる。そんな小五郎に向かって、館に集まった探偵達が次々と差出人の正体を明かしていく。
「そして…英語で山羊はGoatですが、"仔山羊"の事は呼び方が変わります。…kid、とね」
「……なっ、なに!?」
白馬の言葉に小五郎が驚いて声をあげるが、蘭はまだピンときていないようで、不思議そうに首を傾げる。
そんな蘭の姿を見た名前は,白馬の言葉を引き継いで口を開く。
「……こう言えば、もう少し分かりやすいわ。"kid the Phantom thief″」
名前の言葉に小五郎と蘭が驚いて息をのむ。そんな中、コナンはそう告げた名前の顔を何かを探るようにジッと見つめている。
「…僕の思考を狂わせた唯一の存在、闇夜に翻るその白き衣を目にした人々はこう叫ぶ……"怪盗キッド″!!」
今までの冷静な様子から一転し、興奮したような白馬の言葉に、名前は一瞬凛ととした怪盗キッドの気配を感じる。自分の名前を出されたことで、ほんの一瞬気配が変わったのだ。
(……やっぱり来ているのね)
名前がチラリと幼なじみであるコナンの反応を確かめるように目を向けると、コナンはニヤリとしたいつもの不敵な笑みを浮かべている。
(新一も気付いてるみたいだし…周りは優秀な探偵ばかり。さっきの感じだと、白馬君も何だか怪盗キッドと関係があるみたいだし。キッドの事が気になってわざわざ来てみたけど、今回はキッドもあまり余裕はなさそうね)
名前が小さく息をつくと、隣の白馬から声がかけられる。
「…名前さんも怪盗キッドの事はご存じですか?」
「……ええ、いつもニュースで騒がれてるし。おじさんと一緒にいると、よく事件にもよく巻き込まれるから」
「そうですか…そういえば、学校の方はどうですか?」
「……みんな良くしてくれるから、楽しませてもらってるわよ?」
(白馬君…もしかして、気づいてる?)
怪盗キッドと学校。脈絡のない話のように聞こえるが、白馬が名前と同じように快斗の事を怪盗キッドだと疑っているのなら、今の会話の流れは暗に快斗の事を指しているのかもしれない。そして今、名前は白馬から怪盗キッドと関わりがあるのか探りを入れられたのかもしれない。
(白馬君といい、新一にも疑われて……私も大概余裕ないわね)
そんな名前達の会話は、メイドがガラガラと音をたてながら食事を運んできたためそこで一時中断となった。