「探偵甲子園」編
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「"私のために"?あの天下の怪盗キッドが?ふふ…それは、さすがに白馬君の考えすぎじゃないかしら?」
名前は白馬の言葉に僅かに目を丸くした後に、クスクスと笑いながら言葉を返す。
「…………。」
(これが演技だとしたら、名前さんもなかなか手強そうですね)
白馬は可笑しそうに笑う名前を見つめながら、心の中で小さくため息をついた。
card.463
「それでは話を戻しましょう。あの日、彼とは何か話しましたか?」
「いいえ。あの後は、近くのバス停に降ろしてもらってすぐにお別れしたわよ」
「……そうですか」
(本当にそれが事実なのか、偽りなのか。どちらにしても、今これ以上追求したところで…名前さんから聞き出すのも容易ではなさそうですね)
白馬は快斗がトイレに行っいる今の短時間で、名前から事実を聞き出すのは難しいと判断し、それ以上追求する事はなく口をつぐむ。
「……………。」
(何とか諦めてくれたのかしら?それとも……)
名前は、それ以上言葉を続けようとしない白馬を見つめた後に、少し迷いながらも口を開く。
「ねぇ、白馬君」
「何ですか?」
「白馬君は、どうしてそんなに怪盗キッドに執着しているの?」
「え?」
「…………。」
白馬は名前からの思いがけない質問に僅かに目を見開くが、名前は黙ったまま白馬を見つめる。
「僕が彼を追う理由ですか…」
白馬はしばらく名前を見つめ返した後に、フッと小さく笑って視線を上に向けながら口を開く。
「それは…僕にとって、彼が"唯一の存在″だからですね」
「……………。」
(それってあの時の…)
--Kid the Phantom thief……--
--お…おい…--
---まさか…それって、--
--我々探偵が、生唾を飲み込んで待ち焦がれるメインディッシュ…--
--監獄にぶち込みてぇ、気障な悪党だ--
--……"そして、僕の思考を狂わせた唯一の存在…″--
名前は、以前も白馬の口から聞いたその言葉に黄昏の館でのやり取りを思い返す。
「………それに」
「え…?」
そんな中、まだ言葉を続ける白馬に名前は首を傾げる。
「あなたは気になりませんか?……"彼″があんな事をしている理由が」
「………そうね、気になるわ」
(確かに、最初の頃は気になったわね……)
「最初は、ただ捕まえたいと…ただそれだけを思っていました。しかし、最近は思うんです。彼が、あんな事をしているのは…何か特別が事情があるのでは……とね」
「…白馬君」
どこか遠くを見るように呟く白馬の横顔を、名前はジッと見つめる。
「まぁ、例えどんな理由があったとしても………僕は、彼を捕まえる事をやめるつもりはありませんがね。それが…"彼″を止める唯一の方法でもありますから」
「……怪盗キッドは、随分白馬君に想われているみたいね」
(白馬君にとって…"彼″は、キッドでもあり、きっと快斗の事も示しているのね)
白馬のキッドのためを思うようなその言葉に、名前は目を丸くして白馬を見る。
「おや、それはお互い様じゃありませんか?」
そんな名前の言葉に、白馬はにやりと意味深な笑みを浮かべる。
「あら…何の事かしら?」
名前は、そんな白馬に肩をすくめながらも小さく微笑んで言葉を返した。