「探偵甲子園」編
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「?」
---コンコン
平次と快斗が、時津や名前の言葉に首を傾げるなか、甲谷はある1つの扉の前で立ち止まると小さくノックする。
「………。」
白馬は既に答えが分かっているようで、涼しげな笑みを浮かべて平次達を見つめている。
「…………。」
(こいつらが言ってるのは誰の事なんだ…?)
快斗達同様、"彼女″が誰の事なのか分かっていないコナンも、平次の足元から扉をノックする甲谷を見つめていた。
card.460
---ガチャ、
甲谷がノックした扉は、ノックから間を開けずに勢いよく音をたてながら開く。
「えっ?マジッ!?もうそんな時間なのっ?」
そして部屋の中からは、サングラスを外して制服に着替えた七槻が出て来る。
「やっばー!!のんびりしすぎちゃったよ!」
七槻は焦ったように、制服のスカーフを結んでいる。
「ボクの高校、校則厳しくって…ちゃんと用意するの大変なんだ。"スカート"は膝下3cmから5cm!スカーフは左右対象。ソックスは黒……もちろんパーマネントは禁止だし」
「「「……………。」」」
(こいつ……)
(女やったんかい…!?)
(全然分からなかった…)
スカーフを結び終えると、ため息をつきながら制服のスカートに触れて校則について話す七槻。その姿を、コナンや快斗達は唖然として見つめているが、七槻はそれには気がつかずに校則についての不満を続けている。
「眉を剃ったら反省文だし、ボクのこの天然の茶髪も何度注意された事か……」
「まだTVカメラがない事ですし、今日は適当でもいいのでは?」
「あ、それもそうだね!」
自分の姿が校則に違反していないか気にしていた七槻に、白馬が笑顔でそう告げる。七槻は、その言葉にパッと笑顔になって頷くと、バタンと扉をしめて廊下に出て来る。
「さ、行きましょう」
そんな七槻を、白馬は自然な動作でエスコートしている。
「ありがとう!………あ、君もやっぱり制服持って来たんだね。君の所の制服は可愛いね~」
「そうですか?七槻さんの所も可愛いと思いますよ。うちは、校則はそこまで厳しくないけど……」
白馬の隣を歩きながら、名前に声をかけてくる七槻に名前も笑顔で言葉を返す。
「へぇ……やっぱり東都の高校はお洒落なのかな。……ボク、同年代の女の子の探偵って初めて会ったんだ!後でゆっくり話そうね!」
「ええ、ぜひ!」
七槻は笑顔でそう告げると、白馬と並んで歩き始める。
「「……………。」」
七槻と白馬の後ろ姿を見ながら、並んで歩く名前と快斗。
「分かったでしょ?私が言ってた意味」
「ああ……まさか、あいつが女だったとは…」
快斗はため息をめきながら、頭をガシガシと掻く。
「ふふ……気付いてたのは、時津君と白馬君だけだったみたいね」
「あいつが…さっき、名前ちゃんと"ゆっくり話したい″って言ってたのも、女同士話したいって意味だったわけか。何か、ムキになってた自分がすげぇ恥ずかしいんだけど」
肩を落とす快斗の横顔を、名前はチラリと見ながらクスクスと笑う。
「あら…でも、私は私の事で快斗がムキになってくれるのは嬉しいわよ」
「ふぅん……名前ちゃんが嬉しいなら、俺は良いけどね」
「……何?」
どこか含みをこめたような快斗の物言いに、名前は首を傾げる。
「名前ちゃんも…たまには俺のためにムキになってくれないかなーと思って?」
「…私、今まで"神出鬼没な彼″のために、何度必死になったか分からないんだけど?」
快斗の言葉に、名前は心外だというように首を傾げる。
「……それはそれだよ。"俺″の事でも、ムキになってほしいって事!」
(確かに…キッドの時には、申し訳ないくらい名前ちゃんに迷惑かけてるか…)
快斗は口ではそう言いながらも、今までの事件を思い返してみて、内心では名前に苦労をかけている事に反省する。
「もうっ…いつも心配してる人の気も知らずに酷いわね」
そんな快斗の言葉に、名前は怒るわけでもなく困ったように苦笑しながら、優しく微笑んで快斗の腕をとる。
「………いいの?」
そんな名前の行動に、快斗は僅かに目を丸くする。
「……何が?」
「人前だし……名探偵とか色黒探偵とかいるし?」
「あら……たまには良いじゃない。私がこうしたいんだし」
(快斗がムキになってくれて嬉しかったのは本当だし…)
名前は平然とそう答えると、快斗が自分の事でムキになってくれた事への嬉しさを表すように、快斗の腕に回した手に力を込める。
「やっぱり、可愛いよね…名前ちゃんって!」
(たまーに、こういう事するから反則なんだよな……こいつは)
「ふふ、何よ改まって…」
快斗は、自分の腕をとった名前の頭を嬉しそうに撫でながら優しく微笑んだ。