「探偵甲子園」編
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「2人で1部屋って話だったけど、そんなに部屋も狭くないわね。お風呂もトイレもちゃんとついてるし」
「…………。」
槌尾に指示された部屋に入った名前と快斗。名前が部屋を見渡してそう呟くが、隣に立つ快斗は不機嫌そうに顔をしかめている。
「…ねぇ、快斗?」
「…………。」
「快斗くーん」
「…………。」
「快斗……怒ってるの?」
名前は黙ったままの快斗に小さくため息をつくと、快斗の顔を覗き込んで首を傾げた。
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「オメー…ああいう奴が好みなのかよ?」
黙ったままだった快斗は、ふいっと名前から視線をそらしてポツリと呟く。
「え?もしかして、七槻さんの事?」
「…………。」
「…ふふ、」
「なっ…何笑ってるんだよ!?俺は真剣に…」
しばらく快斗を見つめた後に、小さく吹き出すように笑い始めた名前。そんな名前に、快斗は不満そうに眉を寄せて詰め寄る。
「私が、七槻さんと同じ部屋を断らなかったのを気にしてるんでしょ?」
「気にするも何も……俺はもう、愛しの名前ちゃんに振られた気分なんですけど。あいつと同じ部屋、何で断らなかったわけ?」
(こんなに、悪びれる様子もなく笑って話すって事は何か理由があんのか?)
快斗は、名前が七槻との同室を断らなかった事にかなり動揺していたが、女性相手……しかも自分の好きな相手に怒鳴りつけたりするような行動をするわけにもいかず、何とか冷静に努めようと怒りを抑えていた。しかし隣でクスクスと笑っている名前の姿を見ているうちに、どこか拍子抜けしたような気持ちになる。
「ふふ。さっき槌尾さんが、夕飯は"探偵甲子園らしい格好で″って言ってたでしょ?」
「ん?ああ、そういや言ってたな」
「私は制服を持って来たんだけど……さっき聞いたら、平次もそうみたい。きっと七槻さん達もそうだと思うわ」
名前は、そう話ながらガサガサと荷物の整理を始める。
「?」
(今の話に何の関係が……?)
快斗は、名前の話の意図が掴めずに小さく首を傾げる。
「ふふ……さっきの話の答えは、夕飯になれば分かると思うから」
(やっぱり快斗は気付いてないのね。平次達も分かってなかったみたいだけど…)
名前は、首を傾げる快斗に苦笑しながらサラリとそう話すと、鞄から制服を取り出して立ち上がる。
「…………。」
(何かいつも通りの名前ちゃんだな。俺の気にしすぎか?名前ちゃんは言うつもりねーみたいだし、仕方ねーから夕飯まで待つか)
快斗は、ぼんやりとそんな事を考えながら立ち上がった名前を見つめる。
「さっ……私、これに着替えないとだから……ちょっと向こうに行くけど待っててね」
「…ああ。別にここで着替えれば良いじゃん?…俺的には大歓迎だけど」
「馬鹿ね…私はイヤよ」
(………何だかんだ言っても、もういつもの快斗ね)
ニヤニヤ笑いながらそう告げた快斗に、名前は呆れたように言葉を返す。しかし、いつもの調子に戻った快斗に安心して小さく微笑みを浮かべると、制服を手に洗面所の方へと消えて行った。