「探偵甲子園」編
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「私が、この度あなた方の世話を仰せつかった甲谷廉三です。よろしくお願いいたします」
桟橋の入口には小柄が老人が立っており、名前達に向かって小さく頭を下げながら挨拶する。
「では、皆様さっそくロッジの方へ…」
そして甲谷はチラリと視線の先に見えている木造の2階建ての建物に視線を向けながら、名前達を先へ促した。
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「無人島のロッジっていうだけあって、えらい年期の入った古い建物やなぁ」
平次は甲谷の後に続き、コナンと並んでロッジに向かって足を進めながらポツリと呟く。
「そうかぁ?無人島にある建物にしては、割としっかりしてるじゃねーか」
コナンも、平次の言葉にロッジを見上げながら言葉を返す。
「まぁ…俺らは屋根が着いてて寝れればどんなんでも構わんけど、こんな雰囲気の建物やとあいつが駄目やろ?」
「あいつ?」
ニヤリと笑う平次に、コナンは不思議そうに小さく首を傾げるが、平次はそんなコナンを尻目にくるりと後ろを振り返る。
「おい、名前……」
「名前、オメー怖くねーか?」
「ふふ、まだ明るいから平気」
名前は、心配そうに尋ねる快斗に苦笑しながら小さく頷く。
「でも、この感じだと夜はやっぱり結構暗いのかしら?」
(無人島だし、ロッジの外にはあまり電気もなさそうだし)
名前は、僅かに眉を寄せて辺りを見渡しながら小さく呟く。
「だろーなあ。ま、夜は俺と同じ部屋だから大丈夫だろ?」
「……そうね。」
ニヤニヤと笑う快斗に呆れたような視線を向けながらも、名前はやはり安心している面があるのか僅かに頬を緩める。
「でも名前ちゃん、割と普段から夜も平気で出かけてるじゃねーか」
(……俺(キッド)と会った時も、夜中のビルに普通に1人でいたし)
「ああ…街中とか、普段から自分が暮らしてる場所は暗くても平気よ。私が怖いのは、例えばこういう雰囲気のある建物とか……」
「……………。」
「オメーさっきからどうしたんだよ?あいつらが何かあるのか?」
名前に声をかけようとしたはずの平次だったが、なぜかしばらく名前達の会話を聞いた後に黙ったまま視線を前に戻す。そんな平次に、コナンは不思議そうに声をかける。
「あー、いや……まぁ…後で話すわ」
「?」
「ほら、もうロッジに着くで。そや!なぁなぁ、ディレクターさん!」
平次は首を傾げているコナンを尻目に、前を歩く槌尾に声をかける。
「何だい、服部君?」
「東の高校生探偵の工藤新一が来ないんやったら……」
「おや?東の代表の少年なら、今朝早く見えてロッジでくつろいでおられますが……?」
「!?」
「な、何やとぉ!?」
平次の言葉を遮るように甲谷がサラリと告げた言葉に、コナンと平次は驚いて目を見開く。
「新一が来れるわけないし…誰が東の代表なのかしら?」
「名探偵以外で有名な高校生探偵なんて、思いつかねーよな」
甲谷達の会話を聞いていた名前と快斗も、工藤新一以外の"東の高校生探偵″に心当たりがなく、不思議そうに首を傾げた。