「探偵甲子園」編
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「うぷっ……ハァ、ハァ…」
「………え?」
ゆらゆらと揺れる船内で、槌尾が突然青ざめた顔で小さく声を上げながら口元を押さえる。その仕種に、槌尾の隣に座って平次とコソコソ会話をしていたコナンは、目を見開いて槌尾から距離をあけた。
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「おい…おっさん大丈夫かよ?」
快斗は、スッと身体を乗り出して槌尾の方を覗き込みながら尋ねる。
「槌尾さん、これ使いますか?」
(船酔いかしら?顔真っ青だけど…)
名前は鞄から小さなビニール袋を1つ取り出すと、快斗越しに槌尾に差し出す。
「ハァ、あ……ありがとう。悪いね…」
槌尾は口元に手を当てながら、袋を受け取る。
「……船酔いなのかな?」
時津は、チラリとゲームから槌尾に視線を移して尋ねる。
「あ……いや、二日酔いだよ。昨日の録りがかかってねぇ…その後、スタッフと高い店に行ったら飲み過ぎちやって……」
「ふぅん……じゃあ、"てっぺん越しちゃった″んだねぇ」
「え……てっぺん?い、いや高い山にある店じゃなくて…値段の高い店で」
「ねぇ、おじさん」
槌尾は時津の言葉に首を傾げながら言葉を返すが、そんな槌尾の言葉を遮るように"日売テレビ″と書かれた鞄に寄り掛かるようにして座っている七槻が口を開く。
「これ、わらってくれる?狭いよ」
「わ、笑う?心が狭い?あ、今の"高い″と"てっぺん″って、シャレだったのかな?」
槌尾は2人の言葉の意味が分からず、困ったように時津と七槻の顔を見比べて戸惑いながら言葉を返す。
「ふふ…」
「?……ハハ、」
しかし七槻も時津も槌尾の問いには返さずにただ可笑しそうに小さく笑っているため、槌尾は青い顔をしたまま戸惑いながら愛想笑いを返した。
「……ふふ」
名前は場の空気を誤魔化すように渇いた笑い声をあげる槌尾を見て、小さく笑う。
「どうしたの、名前ちゃん?」
つまらなそうに欠伸をしていた快斗は、笑っている名前を見て不思議そうに首を傾げる。
「今の会話、聞いてた?」
「え?……いや、あんまり」
「あの2人も、やっぱり"高校生探偵″なのね」
「え?」
名前は、どこか楽しそうに笑いながらポツリと呟く。
「ああやって、既に"答え″が分かっているのに、わざわざ試すような事を言うところなんて…新一そっくり」
「……そう?」
(…ってー事は…"探偵″って言うのは、みんな名探偵みてーに意地が悪ぃのか?)
楽しそうに笑いながら呟く名前の言葉に、快斗は不思議そうに首を傾げる。しかし、推理中に犯人をじわじわと反論出来ないように追い詰めるコナンの姿を思い浮かべて、思わず小さくため息をついた。